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 重度の知的障害がある少年が福祉施設から行方不明になって死亡した事故をめぐり、両親が施設側に将来得られたはずの「逸失利益」など約1億1400万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は22日、約5200万円の賠償を命じる判決を言い渡した。両親は逸失利益を健常者の平均賃金を基に約7400万円と算出して請求。田中秀幸裁判長は「障害者雇用を積極的に推進する大きな転換期」という社会情勢も踏まえ、請求額の3割の約2200万円を認めた。

 判決は、知的障害者が働く環境は現状では不十分だが、障害者雇用促進法の改正で改善傾向にあると指摘。そのうえで、個々の能力を具体的に検討すべきだという指針を示した。

 少年については「特定の分野に限っては、高い集中力をもって障害者でない者より優れた稼働能力を発揮する可能性があった」と判断した。

 亡くなったのは東京都八王子市の福祉施設に入所していた松沢和真さん(当時15)。2015年に無施錠だった施設から行方不明になり、2カ月後に山中で遺体で見つかった。施設側は逸失利益を含まない慰謝料2千万円の支払いを提示したが、両親は拒否。逸失利益も「障害がない人と差別せずに支払うべきだ」として健常者の平均賃金を基に約7400万円と算出し、3千万円の慰謝料などと合わせて訴訟で請求した。

 施設側は少年が健常者と同じような仕事に就けた可能性を否定していた。(北沢拓也)