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 統一地方選が県内でも、29日告示の県議選を皮切りに始まる。県民の代表を決める選挙だが、朝日新聞の取材では今のところ、三つの選挙区で無投票となる公算が大きい。「無風選挙区」は一時よりも減少傾向にあるが、それでもなくならない。なぜだろうか。

 今回の県議選で無投票とみられているのは、高島、湖南、栗東の3市の選挙区。中でも湖南、栗東両市は前々回の2011年からいずれも無風が続いている。29日の告示で立候補者の届け出が定数(いずれも2)を超えなければ、有権者に投票の機会が与えられないまま、当選者が決まる。

 人口は栗東市が約7万人、湖南市が約5・5万人。県議会関係者は「定数の問題では」と話した。

 両選挙区の現職はともに、最大会派の自民と第2会派のチームしがの所属議員が分け合っている。自民県議の一人は「どちらも2議席を取れる力はない。結果的に仲良く分けているのが現状だ」と打ち明ける。

 今回の県議選で6選挙区に7人を擁立する共産も、両選挙区への擁立を見送る。

 栗東市や湖南市など湖南地域の6市を管轄する湖南地区委員会の幹部は「候補を立てるだけの地力がない」と説明する。

 地区委員会によると、2017年の衆院選で、湖南地域6市で共産が得た比例区の票は、湖南地域全体の比例票の約8%。湖南地域の現職県議は草津市のみで、地区委員会幹部は「6市の力を草津に集中させて何とか現有議席を守ることを重視した」と話す。

 政党色の薄い無所属候補も、湖南市や栗東市ではなかなか名乗り出ていない。栗東市長選は2回連続で無投票。同市議選も11年は無投票だった。

 栗東市の無職男性(76)は嘆く。「選挙がなければ、地域の課題や議員が何に取り組もうとしているのかもわからない。政策の質の低下を懸念している」

前回から一転 選挙戦予想

 一方で、前回の無風から選挙戦になりそうなのが、定数3の甲賀市選挙区だ。

 化学製品会社長の家森茂樹氏(67)と元市部長の富田博明氏(67)の自民2氏、広告会社会長でチームしがの田中松太郎氏(46)の現職3人に、無所属新顔で医師の村上元庸氏(64)が挑む。

 市役所から東へ約15キロ、三重県境に近い旧土山町鮎河(あゆかわ)地区。急峻(きゅうしゅん)な山々に囲まれ、青土、野洲川の二つのダムに挟まれた静かな集落は、春には野洲川沿いなどに千本以上の桜が咲きほこり、観光客らでにぎわう。

 ただ日常は閑散としている。地区人口は約400人。高齢化で空き家も増え、地区内で唯一食料品を扱っていたガソリンスタンドも、食料品をほとんど扱わなくなった。一人暮らしの高齢者は離れて暮らす家族に時々食料品を買ってきてもらっているという。

 「合併の弊害だ。市中心部はきれいな庁舎が出来て、夜は周辺の店のネオンが輝く。でも、ここは1軒ずつ明かりが消えていく」。鮎河地区の福嶌孝基区長(62)はそう嘆く。

 鮎河地区がある旧土山町は2004年、当時の水口町、甲賀町、甲南町、信楽町と対等合併した。旧水口町に市役所が置かれ、旧土山町役場は市民センターになった。

 地元の鮎河小学校は昨年閉校した。市の中心部方面につながる県道に街灯は少ない。一部住民が毎年市に設置を要望しているが、なかなか実現しないという。「自分たちは取り残されているのだろうか」。福嶌さんは不安を募らせる。「8年ぶりの県議選になれば、合併後の地域のあり方を真剣に議論する機会にして欲しい」(山中由睦(よしちか)、北川サイラ)