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それぞれの最終楽章・認知症病棟から(3)

細井尚人・袖ケ浦さつき台病院医師

 高齢で衰弱した認知症患者が最期を迎える前、家族によくなされる質問に「食べられなくなったらどうしますか」があります。延命治療の希望の有無を聞くものです。一方で、認知症の患者の中に「食べられない」ではなく、自ら食事を拒否する人も珍しくありません。

 個体の維持に必要不可欠な食欲という本能を自ら否定する原因は分かりません。「食べないと死んでしまうので、食べましょう」と促したり、介助したりしてもかたくなに拒否する様子などを見ていると、死に向かう意志として自ら拒食を選び取っているようにみえることもあります。介護施設などでは拒食は精神症状とみなされ、それが精神科への入院理由となることもあります。

 幼い頃の日本脳炎の後遺症で知的障害がある女性のKさん。養護学校を卒業して仕事につきましたが長続きせず、39歳で長野県の知的障害者施設に入りました。施設で興奮状態になると精神科病院へ入院し、おとなしくなると退院する、を繰り返していました。

 63歳の時に当院の近くにある妹さんの家に引っ越しました。時々食事をとらない、失禁しても着替えないなど生活が困難になり、2年後、精神科を受診しました。アルツハイマー型認知症と診断され、即日入院しました。

 調子のいい時は少し会話ができ、カラオケで童謡を歌ったり、作業療法の塗り絵をしたりしていました。ただ、何のきっかけもなく食事や介助を拒否することがあり、具合を聞いても、無言で目を閉じるか、「知らない」「具合悪い」と答えるだけです。体の病気は見当たりません。

 拒食の認知症患者に抗認知症薬…

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