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 熊本地裁は28日、「松橋(まつばせ)事件」で殺人罪に問われ、約10年間服役した宮田浩喜さん(85)に再審無罪を言い渡し、熊本地検が上訴権を放棄したため確定した。認知症が進み、自力で歩くこともできなくなった宮田さん。それでも、弁護士から結果を伝えられると、目を潤ませた。

「おやじ、がんばったな」

 「無罪になりましたよ」

 判決から約2時間後の正午過ぎ。弁護団は熊本市の高齢者向け住宅で、宮田さんにそう伝えた。

 事件から34年、弁護団が再審請求に着手して27年。度重なる脳梗塞(こうそく)と認知症の影響で、宮田さんはほとんど意思の疎通ができなくなっている。判決の報告に向かった弁護団には、果たして結果が伝わるだろうかとの不安があった。

 弁護団によると、宮田さんはベッド脇の車椅子に座っていた。弁護団共同代表の斉藤誠弁護士(73)は、その左手を両手で握り「無罪になりましたよ。無実ですよ」と呼びかけた。強い力で握り返してくるのを感じた。十数回の呼びかけの後、宮田さんは何も言わず、斉藤弁護士を見た。

 その目には涙があふれていた。3年前の夏、熊本地裁で再審開始の決定が出たときに宮田さんが見せた表情と同じだった。「わかってくれている」。斉藤弁護士はもらい泣きした。

 事件の上告審の弁護で宮田さんと出会って31年。40年余りの弁護士人生の大半は松橋事件と共にあった。その斉藤弁護士の涙に、普段はあまり感情を表に出さない主任弁護人の三角恒(こう)弁護士(65)は、こみ上げてくるものを抑えられなかった。

 「おやじ……がんばったな」。宮田さんの次男、賢浩さん(60)は、そう声をかけるのがやっとだった。

 斉藤弁護士は言った。「宮田さ…

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