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 インターネットを使った選挙運動が、統一地方選でも活発化しそうだ。議員や候補者の人柄や政策だけでなく、イメージを売り込むのに有効だとみられているためだ。陣営は専門家のアドバイスを受けるなどして、支持拡大につなげようとしている。

 「LINEで拡散できる画像を作るといい」

 3月中旬の夜、東京都内の会議室。4月の選挙への立候補を予定している自民の男性区議(49)が、選挙プランナー松田馨さん(38)の話に耳を傾けていた。

 松田さんが言う「画像」とは、顔写真や経歴、政策などを1枚にまとめたもの。それを支持者から知り合いにLINEで送ってもらい、支持を獲得しようというのだ。

 フェイスブックやツイッターは一度の投稿で大勢の人たちに訴えることができるが、着実に支持を広げるには一対一のやり取りが多いLINEの方が適している――。そう考える松田さんは、告示前に画像を準備し、選挙戦が始まったら拡散させるよう勧めた。

 区議は2015年の前回選挙で街頭演説を中心に区内を回り、初当選した。後援会を支持基盤としつつ、さらに票の上積みを図ろうと松田さんに指導を仰いだ。「SNSの活用に向けてスタッフと相談したい」と話した。

 ネット選挙コンサルタントの高橋茂さん(58)は昨年7月、SNSなどで発信する政策動画の編集サービスを始めた。インタビューや対談などを短くまとめ、インタビューなら5分以内。政策に加え、趣味や地域のおすすめスポットなどを本人に語ってもらう。

 都内の地方議員5人ほどが採用し、ホームページなどで見られるようにしている。高橋さんは「文章よりも動画の方が人となりを伝えやすい」と言う。

 高橋さんが最も気を使うのは誹謗(ひぼう)中傷対策だ。安倍晋三政権への評価や原発問題といったテーマで投稿すると批判を招きやすいとして、避けるよう促す。「炎上すれば有権者にマイナスイメージを与え、陣営や本人のひるみにもなる」

 ネットでの選挙活動に活路を見いだす人もいる。

 5期目をめざす立憲の市議(59)は8年前の選挙から、選挙カーで名前を連呼して回るのをやめた。「何十人といる候補者全員が選挙カーで回ったら、市民には迷惑」と考えたからだ。代わりにツイッターで政策をつぶやく。今回は、政策をまとめた画像をツイッターなどで拡散させ、自身の考えを広めるつもりだ。

 市議は「ブログで『子育て』『福祉』といった政策について発信し続けると、検索でブログにたどりついてつながる人も多い。いまや情報発信の8割はネット。支持拡大に役に立っている」と言う。

 2期目に挑戦する諸派の区議(31)は「大きな組織に負けないイメージを作る必要がある」と考え、街頭演説などをベースにネットでの活動を組み合わせる。

 兵庫県議会や富山市議会などでの政務活動費をめぐる不正発覚を機に、政活費を受け取らない姿勢を打ち出し、昨年からネットで政治資金の寄付を呼びかける。決済アプリや仮想通貨でも払える仕組みにし、大学生や主婦らが寄付してくれたという。告示前日までに100万円を集めるのが目標だ。

 ネット選挙に詳しい西田亮介・東工大准教授は「国政選挙に比べ、地方選挙は当選ラインが低く、ネットは補完的な役割だろう。ただし、インスタグラムやティックトックが普及し、今後は写真や画像、音を加工、演出した情報が出回りやすい。候補者が作り上げたイメージ先行の選挙戦が加速する可能性がある」と指摘する。(金山隆之介、横川結香)