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 1614(慶長19)年に徳川幕府と豊臣家が戦った大坂冬の陣の様子を描いた「大坂冬の陣図屛風(びょうぶ)」を、当時の色で復元する作業が山場を迎えた。夏の陣を描いた作品は多いものの、冬の陣で現存が確認されているのはこの屛風だけという。凸版印刷などがデジタル技術で着色して屛風を複製。大坂城の天守閣や、徳川方を苦しめた真田信繁(幸村)の出丸「真田丸」も鮮やかによみがえった。

 屛風は東京国立博物館の所蔵。高さ約1・8メートル、幅約7・2メートル。豊臣秀頼や淀君、真田幸村らが描かれている。登場人物は約2300人。江戸時代の作品とされるが、時代や作者は不明だ。屛風自体が、絵師が模写で使う見本だった可能性もあるという。実際、屛風のあちこちに色付けの指示が文字で書かれ、指示のみで色のない部分もあった。

 凸版印刷などは、残されていた屛風を画像データとしてパソコン上に取り込み、指示された文字を手がかりに学識者らの監修のもと、1年以上かけて忠実に色を再現している。職人の手作業で金箔(きんぱく)をのせて立体感を出したり、絵筆による自然な色ムラにこだわったりもしている。

 プロジェクトリーダーを務める凸版印刷の木下悠さん(36)は「指示された文字がくせ字で読めないものも多かった。色を再現したことで細部がわかりやすくなった。歴史研究にも役立つのではないか」と話す。

 5月ごろに完成させ、7月27日から徳川美術館(名古屋市)の企画展で一般公開する予定だ。(伊沢友之)