「おなごのくせに」女性市議阻む壁 条件は地縁の代弁者

有料記事2019統一地方選挙

野崎智也 福井悠介 小野大輔
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 「地縁」は地方での選挙・政治活動の基盤だ。女性市議がいたことがない鹿児島県垂水(たるみず)市も、それは同じ。地縁を形作る集落の代表となり、そこから議会での代弁者となっていくのは男性ばかり。女性市議誕生を阻む壁の一つになっている。

 自治会組織を束ねる「公民館」の役員を務めた経験のある男性宅に3月上旬、元市議や地元の有志数人が押しかけた。みな男性だ。

 「地元から1議席は死守しないといかん。どうにか市議選に出てくれんか」

 昨年辞職した地元出身の市議の後継者に、と集落の男性を担ぎ出すための集まりだった。市議選は翌月に迫っていた。「地元の要望は、地元の議員が行政に伝えないといけない」という1時間あまりの説得に、男性は立候補を受け入れた。

 市中心部にある市役所から車で約10分。のどかな田園風景が広がる集落で、普段は祭りや地域の清掃活動、消防団の慰労会といった公民館活動に携わるメンバーが支援に動く。この集落に3月に出回った文書には、男性を「必ずや当選させなければならない」と記されていた。そして、こんな文言も並んでいた。「立派な体格、物おじしない落ち着きのある態度は、代表にふさわしい」

 市内では、小学校区ごとの公民館活動を、集落単位に組織された自治会に当たる142の振興会が支える。女性の振興会長は8人(2018年度)。振興会長経験者の70代の男性は「やっぱり男が先頭に立たないといかん。女では決められるものも決められん」と淡々と言った。「力仕事も多いし、会長は男のほうがいい」とも。体格の良さも、リーダーに求められる資質とされる。

 地域に根付くそうした考えに…

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