写真・図版
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 桜前線とともに、選挙の季節がやってきた。亥(い)年の今年は、統一地方選挙と参院選が行われる選挙の年。町を歩けば候補者の名前が連呼され、あちこちにポスターが貼られている。

 地方選挙、特に議員選挙の投票先はどう選べばいいのか。国政に比べてニュースになることが少なく、政党に属していない候補も多い。どんな主張か、どんな人か。調べようにも人数が多すぎる。

 とはいえ、ポスターを見比べて選ぶのも……。

 「棄権するくらいなら、それもギリギリOKと私は言いたい」。投票の大切さを考える「主権者教育」に取り組んできた神奈川県立三浦初声(はっせ)高校の金子幹夫教諭(54)は言う。

 「通学路で選挙ポスターを見た生徒が『○○、イケてるね』などと言うのをよく聞きます。そんな時は『イケてる○○さんはどの政党?』『スローガンはなんて書いてあった?』と話を広げていくんです」と金子さん。生徒はポスターをきっかけに関心が芽生えることもある。「最初はビジュアル重視でも、次第にそれだけで選べないという気持ちになっていきます。見た目で選んで失敗しても、次の選挙ではどうしようかと心の中に残るでしょう」

 当事者は、見た目をどう考えているのか。

 川崎市議の小田理恵子さん(47)は、画像処理ソフトで顔の輪郭を細くし、肌のきめもきれいに加工したと打ち明ける。「スマホの自撮りで『決め顔』を探るのと同じ感覚でした」

 総務省選挙課によると、掲示場の選挙ポスターは規定のサイズに収め、掲示責任者と印刷者の住所・氏名を記せば、あとは自由。何十年も前の写真を使うことも、似顔絵を使うことも規制されていない。2004年には、写真があまりに古くて今の容姿と異なっていても、「虚偽記載にあたらない」という政府の答弁書も出された。

 選挙コンサルティングを手がける「ジャッグ・ジャパン」社長の大浜崎卓真さん(31)は「ポスターは候補者全員が横一列に並び、比べられる。写真やキャッチフレーズも含め、ほかの候補者とどう違いを出すかを考えます」と言う。最近は色合いが豊富になり、シンプルで平面的なイラストやアイコンを使うことが流行しているという。

 「その中でも、有権者の心をつかむためには候補者の写真はとても大事です。若いころの写真を使うこともあるし、しわやシミも当然修整しています」

 では、見た目で選んでも大丈夫?

 高校などで選挙や政治に関する出前授業をしている大学生グループ「POTETOメディア」社長の古井康介さん(23)は「ポスターもメッセージが込められた一つの表現ですが、それだけでは肝心なことはわからない」と指摘した。

 そのうえで、こうアドバイスした。「投票所に入るまでスマートフォンなどで情報を得られます。見た目でいいなと思ったら、ひと手間かけてその候補者を調べてみては」(吉沢龍彦)