[PR]

 敗れはしたが、実り多き春だった。第91回選抜高校野球大会3日目の25日、17年ぶり3回目出場の津田学園は1回戦で龍谷大平安(京都)と対戦し、延長十一回の末、0―2で敗れた。エース前佑囲斗(ゆいと)投手が11回を投げて4安打に抑える力投で、昨秋の近畿王者と互角に渡り合った。三重県勢の2年連続の初戦突破はならなかった。

「できる」砂に書き快音 3安打の小林世直選手

 遊撃の守備につくたび、砂に指で「できる」と書く。津田学園の小林世直(せな)選手(2年)は緊張をほぐすためのルーティンを、自身初の甲子園でも貫いた。

 先発唯一の2年生が、チームただ1人のマルチ安打となる4打数3安打。「応援があったからこそ頑張れた。甲子園で結果が出て良かった」。砂に書いた誓い通りの活躍だった。

 晴れ舞台はミスから始まった。三回表の守備、遊撃に転がったゴロの処理を誤り、失策した。「弱気に打球を待って足が止まった」。そこで、スイッチが入った。

 その裏の先頭打席、龍谷大平安のエース野沢秀伍投手(3年)の直球を中前に運んだ。「甘いボールが来たら、強気でいこうと思った」。五回には、チームが苦しめられた野沢投手のチェンジアップも安打にするなど、1人気をはいた。

 桑名市の長島中出身。自宅から片道12キロを自転車で通学し、足腰を鍛える。家の和室では家族が投げるバドミントンのシャトルを打つ練習をして、持ち味のミート力に磨きをかけた。

 龍谷大平安との対戦が決まった後は、野沢投手の変化球を映像で見て素振りを重ねた。「僕の好きな内角を攻めてきて、相性の良さも感じました」

 敗れはしたが、試合後、威勢の良い言葉が飛び出した。「もっと成長して、後輩だけど先輩に頼らず、自分の打撃で引っ張りたい。今年の夏も、自分が新3年になる来春も、甲子園に戻ってきたい」。春の聖地の陽光を浴び、津田学園の若い芽がぐんと伸びた。(広部憲太郎)

こんなニュースも