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「“火の鳥”ですって?」

 と、緑郎は聞き返した。

 ――遥(はる)か古代から、世界のあちこちで目撃され、いつしか伝説となった不思議な鳥。それが“火の鳥”だ。燃え盛る火から生まれた不老不死の生物であり、その生き血を飲む者もまた不老不死となる。鳥は死んでもまた炎の中から蘇(よみがえ)る、と。

 この鳥は、宇宙の摂理のすべてを知る、古代神のような存在だとも、未来に繋(つな)がる、完全なる超生命体だとも論じられてきた。中国では鳳凰(ほうおう)、欧州では不死鳥(フェニックス)と呼ばれ、数千年もの間、人間の畏怖(いふ)と憧憬(しょうけい)を誘ってやまなかった。

「じつはな、間久部くん。十六世紀を最後に、火の鳥の目撃談は途絶えていた。それが二十世紀になり、とある場所でな……」

「ふむ、とある場所とは?」

「この中国大陸じゃよ」

 と、猿田博士は目を細めてうなずいてみせた。

「広大な大陸の遥かなる西域、シルクロードにあるタクラマカン砂漠。“さまよえる湖”と呼ばれるロプノール湖を知っておるかね? 湖畔にかつて楼蘭という吹けば飛ぶような小国もあった」

「ふむ」

「その湖周辺の動植物に、長寿と、極めて強い活力が認められ、一時は清(一九一二年に消滅した中国の巨大帝国)の女帝たる西太后が調査隊を派遣したこともあったらしい。わしの研究により、生態系に“未知のホルモン”が影響する可能性が浮上した。それがどうやら火の鳥の……」

「ちょっと待ってください。…

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