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 福岡市立中学校の特別支援学級に在籍中、英語をほとんど教えてもらえず学習する権利を侵害されたなどとして、20代男性が市を相手取り、慰謝料などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決が27日、福岡高裁であった。須田啓之裁判長は学習権の侵害を認め、請求を棄却した一審・福岡地裁判決を変更し、市に55万円の支払いを命じた。弁護団によると、学習権の侵害を認めた判決は珍しいという。

 判決によると、男性は注意欠陥・多動性障害(ADHD)と広汎(こうはん)性発達障害と診断され、中学では特別支援学級で授業を受けた。担任教諭は男性の学力などを踏まえ、1年次に英語の授業をほとんどしなかった。別の教諭は、教諭の車を傷つけた犯人と決め付ける発言や、「気持ち悪い」との発言をした。男性の体を仰向けの状態で教諭のひざにのせる暴行も加えた。

 判決は、特別支援学校の学習指導要領が、知的障害がある場合などを除き外国語を必修としていることなどから、英語の授業をほとんど行わなかったことを「教諭の裁量権を逸脱し、学習権を侵害した。男性の精神的な苦痛は相当に大きかった」と判断。暴言などについても「指導の範囲を逸脱した」と指摘した。一審判決は教諭らの対応を、「裁量権を逸脱しているとはいえない」「指導の範囲内」と判断していた。

 男性は判決後に会見し、「基礎となる英語を中学で学べていない分、高校で授業についていけなかった。暴言や暴行は一生忘れることはできない。先生たちにしっかりと反省してもらい、同じような思いをする生徒がいなくなればいいと思う」と話した。福岡市教育委員会は「主張が一部認められず残念。判決文をよく精査して対応を検討したい」としている。(一條優太)