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 長時間録音ができ、持ち運びしやすく、音が飛ばない音楽メディア「ミニディスク」(MD)。平成に生まれ、カセットテープに代わって一時代を築いた。だが、音楽を聴くスタイルの変化の波にのまれた。今も再生機器を製造している会社があるが、あと数年で終わる可能性があるという。

 「MDデッキのウェブサイトは、今も結構見られています。弊社のページビューのトップ10入りなんですよ」。MDデッキを国内で唯一、製造している音響機器会社「ティアック」(東京)の広報、寺井翔太さん(33)はそう話す。一般ユーザーの買い替え需要のほか、冠婚葬祭やコンサートなどで音響を扱う業者にもニーズがあるという。

 MDシステムは、ソニーが開発し、1991年に発表。翌年「ウォークマン」1号機(7万9800円)、MDディスクを販売した。CDやカセットと比べて直径64ミリとコンパクトで、長時間録音・再生ができ、高音質で音飛びもしない。通勤通学やドライブで使うユーザーが多かった。各社とも携帯型プレーヤー、MD搭載のコンポを発売し、90年代半ばに市場を席巻した。

 高級オーディオや高性能録音機器で知られるティアックも96年以降、MDデッキやコンポの販売を開始。2015年から「MD―70CD」というMD・CD一体のデッキを売っている。

 「精密部品で剛性も必要なメカトロニクス(電子機械工学)の技術。携帯プレーヤーは年々小型化しており、MDの再生機器は日本の技術力を示していた」と企画・販売促進課の加藤丈和課長(54)は言う。

アップル旋風で人気の地位失う

 だが人気は続かなかった。MDコンポ業界では00年が市場のピークとされ、翌年にはアップルの携帯型デジタル音楽プレーヤー「iPod」が登場。MDは一気にその地位を失った。

 平成が終わるいま、定額で音楽が聴き放題の「ストリーミングサービス」が主流になりつつあり、レコードやカセットテープなどアナログ音楽のブームも来ている。

 「MDよりカセットの方が音は悪い。ノイズも入るし、曲の頭出しもできない。でも優しさやノスタルジーがある。果たして10年後にMDブームが来るか……」と加藤さん。

 一方、広報の寺井さんは大学生時代のジャズバンドの演奏を録音したMDを大切に保管する。「あのころの音はもう再現できないし、当時の思い出は捨てられないですよね」

 買い替え需要を支えるのも同じような理由があるようだ。同社は「TASCAM」ブランドでコンサートホールや冠婚葬祭の会場向けにMDデッキを販売しているが、「ホール側は『このMDでBGMをかけてほしい』という客の声を切り捨てられないようです」と寺井さんは言う。

 そんなMDデッキもリバイバルブームの前に市場から撤退しかねない。ティアックのMDデッキは部品の在庫分だけで製造を続けているからだ。寺井さんは「おおよそで見ても2、3年持つかどうか」と話す。(斉藤佑介)