[PR]

【アピタル+】患者を生きる・食べる「ドライマウス」(診断と治療)

 唾液(だえき)が減り、様々な症状が出るドライマウス(口腔(こうくう)乾燥症)。診断と治療について、鶴見大学歯学部の斎藤一郎教授に聞きました。

 ――ドライマウスとは、どんな症状ですか。

 一言で言うと唾液が減り、口が渇くことです。しかし、自覚症状は多様です。口の中が粘ついて不快感がある、長時間うまく話せない、口臭が気になる、乾いたものがのみ込みにくい、口紅がうまくつかないといったことがあれば、ドライマウスが疑われます。

 ――なぜ唾液が減ると色々な問題が出てくるのでしょう。

 唾液は口を潤すだけでなく、抗菌、粘膜の保護、食べ物の消化など、様々な役割を担っているのです。唾液が減ったままでいると抗菌作用が失われ、虫歯や歯周病にもつながります。カンジダ菌が異常に増える口腔カンジダ症になることもあります。ほかにも、口角炎や口唇炎、味覚障害など、様々な症状につながります。

 ――ドライマウスに悩む人は多いのですか。

 欧米の論文で最も多く見積もったものでは、人口の25%がドライマウスだというデータもあります。中高年の女性で症状を訴える方が多いです。

 ――どのように診断しますか。

 歯科では10分間ガムをかみ続ける検査や、ガーゼをかむ検査などで唾液を測り、問診で原因を探ります。注意すべきなのは、膠原病(こうげんびょう)のひとつであるシェーグレン症候群が原因の場合です。シェーグレン症候群なのか、それ以外の原因によるドライマウスなのかの鑑別が大切です。

 シェーグレン症候群かどうかは、血液検査などで調べます。シェーグレン症候群の疑いがあれば、膠原病・リウマチ内科などに紹介します。いま、その医科と歯科の連携が進むように取り組んでいるところです。

 ――シェーグレン症候群ではない場合、どんな原因があるのでしょうか。

 まず、薬の副作用が挙げられます。副作用に「口渇」と書いてあるものは多いです。高血圧の薬や抗不安薬、睡眠薬、アレルギーを抑えるのに使う抗ヒスタミン薬なども口が渇きやすいです。たくさんの種類を飲んでいる場合は、減らせるものがないか、主治医に相談しましょう。代わりの薬がある場合もあります。

 加齢の影響も考えられます。女性ホルモンのエストロゲンは、唾液腺をコントロールする役割がありますが、年齢とともに減ることで乾燥しやすくなります。ストレスも原因になります。唾液腺は自律神経によって支配されています。興奮や緊張で交感神経が優位に働くと、サラサラとした唾液の分泌が止まります。緊張した時に口が粘つくのはこのためです。

 ――日常で唾液を増やす工夫はありますか。

 よくかんで食べることで口内を刺激し、唾液の分泌を促しましょう。かむ筋肉を鍛えることにもつながります。なるべく薬に頼らない生活や、ストレスをやわらげることも大切です。

◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・松本千聖)