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経済インサイド

 お金の歴史を変える存在と持ち上げられた一方、巨額の流出事件を引き起こし、流行語大賞の候補にまでなった。良くも悪くも「仮想通貨」はすっかり定着した言葉だ。ところが政府はいま、法律を変えて、この仮想通貨という呼び名を変えようとしている。背景には「通貨」の名に値する決済手段とは言いがたい現状がある。果たして「仮想通貨」でなくなる、君の名は――。

 仮想通貨という言葉は、ブロックチェーンというインターネット上のしくみに支えられた電子データの通称であり、資金決済法という国内法に出てくる法律用語でもある。

 資金決済法は、銀行以外の送金業者や電子マネー業者などの送金・決済に関わるあれこれを定めた法律だ。金融庁は、法律的にも新しい概念だったこの仮想通貨を扱う業界へ規制をかけるとき、同法を選んだ。仮想通貨の送金・決済の機能に着目したことになる。

 実は、この仮想通貨を規制する「土俵」としては、もう一つの選択肢があった。株式や証券を扱う金融商品取引法だ。投資家の財産を守るために厳しい規制が求められる金商法ではなく、資金決済法を選んだことで、新たな業界は比較的、規制が緩いまま育つことになった。

決済手段か、投資商品か

 沖田貴史委員「ビットコインは決済手段か、それとも投資の対象なのか」

 加納裕三参考人「日本では投資的に使っているユーザーが多い」

 広末紀之参考人「投資側に重点を置いた形で規制をつくるべきだと思う」

 2015年11月。金融庁で開かれた有識者会議「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ(WG)」での一幕だ。仮想通貨にかける初の法規制のあり方を議論するこの場に呼ばれた両参考人は、すでに仮想通貨交換業を営み、業界では有名人。2人のコメントからは、仮想通貨は決済手段としてよりも投資商品としての性格が強く、当面は投資商品としての側面を念頭に規制をした方がいい、との懸念がにじんでいた。

 だが、事務局の金融庁がまとめ、各委員が了承したWGの報告書は、当初の路線通り決済手段としての仮想通貨を規制することを提言した。テロ資金を送るなどのマネーロンダリング(資金洗浄)に仮想通貨が使われることを警戒し、法定通貨を仮想通貨に交換する入り口となる交換業者に登録制を入れた。この提言に沿った改正資金決済法が16年に成立した。

 この法律を読むと、当時の金融庁が仮想通貨を決済手段として捉えていたことがよくわかる。仮想通貨は、ネット上でやりとりできる「財産的価値」と定義され、①代金の支払いや法定通貨(円やドル)と交換できる②電子的に記録され、移転ができる③法定通貨や電子マネーではない、などが明確になった。

 「当時は海外でもバーチャル・カレンシー(仮想通貨)という表現が多用されており、法律に書き込むことに問題はなかった」(金融庁関係者)。仮想通貨はそのまま当然のように法律用語になった。

 それから2年弱がたった昨年1月26日。あの事件が起きた。

 交換業大手のコインチェックが…

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