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(29日、選抜高校野球 明豊2―1札幌大谷)

 一回、札幌大谷の先頭、北本を追い込む。「ベルトからひざ元へ」。5球目、明豊の2年生サウスポー若杉晟汰(せいた)はイメージ通りに115キロを滑らせ、1回戦で本塁打を放った右打者のバットに空を切らせた。

 スライダーが切れた。この球種を決め球に後続も退け、表の攻撃をたった4分で終わらせた。1回戦は横浜打線への警戒心のあまり、一回に3点を失うなどして3回しか投げられなかった。「とにかく入りに気をつけた」と教訓を生かし、乗っていく。中盤からは一転、直球主体に切り替え、明治神宮大会王者を7回1失点と抑え込んだ。

 もともとは右利きだ。母知恵子さん(40)によると、幼いとき歩行器に乗っていて誤って石油ストーブに右手をついて薬指にやけどを負ったため、左投げになった。いまでは、「牽制球(けんせいきゅう)とか細かなことは左投手の方が有利」と自負を持つ。打つのは右だ。五回には中前適時打を放った。

 川崎監督は「信念を持って野球をやっている」と厚い信頼を置き、捕手の成田が「自分に厳しく、監督に怒られたのを見たことがない」と評するしっかりもの。「70点」という自己採点では辛すぎる。(竹田竜世)

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 明豊の野辺が4番の役割を果たした。チームとして初めて走者を得点圏に進めた四回2死二塁、この回の途中からマウンドに上がった札幌大谷・太田の低めの直球を芯でとらえ、右中間への先制三塁打とした。「元々、太田投手の先発を想定していた。代わった瞬間、『このピッチャーから打つぞ』とベンチでも声が出ていたので」と笑った。