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(29日、選抜高校野球 龍谷大平安9―1盛岡大付)

 6番三尾のファウルは5本を数えた。フルカウントになってからは3本連続。

 「カットしているわけではない」と本人は言う。確かにバットをしっかり振っている。「体の中まで呼び込んで打つ意識だから、ファウルになるんです」

 一回、龍谷大平安が押し出し四球で1点先行し、なお1死満塁。10球目の直球が真ん中に入る。三尾が三遊間に流し打ち、二者がかえって3―0。盛岡大付の捕手・島上が「厳しいコースをすべてファウルにされた」と唇をかんだ場面。鮮やかな先制劇を生んだ、平安のしぶとい打撃だった。

 「2ストライクに追い込まれたら、8割は負けている」というのが平安の共通意識だ。2割しかない可能性をいかに膨らますか。

 「ノーステップにして、逆に開き直る」と三尾は言う。左打者なら右足を上げたり、動かしたりしないことで、体のぶれを押さえて確率を上げる。あとはバットをしっかり振る。六回には7番西川が追い込まれてからの変化球を、中前に落として追加点をあげた。

 平安のしぶとい打撃を盛岡大付も警戒していた。関口監督は「各打者とも粘り強いので1人で投げきれない」と背番号10の木内を先発に送った。「阿部と継投しても2人で200球ぐらい投げさせられるのでは」という予測ほどではなかったが、一回だけで28球、六回は24球を要した。

 投げては左腕野沢が12安打されながら1失点完投。この春の平安は、例年にも増して攻守にしぶとい。(編集委員・安藤嘉浩