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 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却や財務省関連文書の改ざんなどをめぐる問題で、大阪第一検察審査会は29日、有印公文書変造・同行使などの容疑で告発され、大阪地検特捜部が不起訴処分とした佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長(61)ら計38人のうち、元局長ら計10人について「不起訴不当」とする議決書を公表した。議決は15日付。

 検審は議決で「本件のように社会的に注目を集めた事件には、公開の法廷で起訴する意義は大きいのではないかと考える」とした。地検は議決を受けて再捜査し、元局長らを罪に問えるか改めて判断する。だが、強制起訴につながる「起訴相当」議決と異なり、再び不起訴とした場合は2度目の審査は行われず、捜査は終結する。

 不起訴不当とされたのは、国有地売却問題をめぐる背任容疑については、当時の財務省近畿財務局管財部次長と統括国有財産管理官、上席国有財産管理官、国土交通省大阪航空局職員の4人。公文書改ざん問題をめぐる有印公文書変造・同行使容疑などでは、佐川元局長、理財局の当時の次長、総務課長、国有財産企画課長、国有財産審理室長、近畿財務局管財部長の6人。

 財務省近畿財務局管財部次長らは、ごみの撤去費用8億円余りを値引きした1億3400万円で国有地を森友学園に売却して国に損害を与えたとして背任容疑で告発されたが、特捜部は「撤去費の算定は不適正とまでは言えず、故意に損害を与える目的があったとは認められない」として不起訴としていた。

 議決は撤去費用について「業者の見積もり費用ほどの工事が必要か検証がなされていない」と指摘。森友学園前理事長の籠池泰典被告(66)からのクレームにさらされていた統括国有財産管理官が自己保身のため、学園側の希望価格に近づけるために売却価格ありきで値引きし、国有地を売り払ってしまう方向に動いたと推認できるとして再捜査を求めた。

 佐川元局長らが国有地売却に関する決裁文書から安倍晋三首相の妻昭恵氏らの名前を削除するなどした有印公文書変造・同行使などの容疑では、特捜部は当初の文書から根幹が変わったとは認められないなどとしたが、「社会的常識を逸脱し、相当大幅な削除がなされたことにより、原本が証明していた内容が変わってしまった」と指摘。改ざんなどの指示を否定する元局長の供述には信用性がなく、責任は重大だとしたうえで「一般市民の感覚からすると言語道断の行為だ」と批判した。

 また議決は、財務省が廃棄した学園側との交渉記録について、「公用文書と認められない」とした検察の判断を否定。公用文書毀棄(きき)罪にあたる疑いがあるとして、佐川元局長らの不起訴を不当とした。

 一方、籠池前理事長の背任容疑は国職員との共謀がないとして、改ざんに関与した他の近畿財務局職員らについては「命令に逆らえなかった」として、それぞれ不起訴を相当とした。(一色涼、多鹿ちなみ)

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 〈森友学園をめぐる問題〉 財務省近畿財務局が2016年6月、大阪府豊中市の国有地について、地中ごみの撤去費名目で約8億2千万円を値引き、1億3400万円で学園に売却していたことが17年2月に発覚。18年3月には、同省が国有地取引をめぐる公文書14件を改ざんしたことが明らかになった。大阪地検特捜部は同年5月、刑事告発されたすべての容疑について、同省幹部ら38人全員を不起訴処分にした。これを不服とした市民らが、大阪の検察審査会に審査を申し立てた。