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 高千穂町岩戸の土呂久地区の鉱山から出る煙や排水で地域住民に健康被害が出た土呂久公害。その歴史や地域の営みを紹介する看板が29日、地区内5カ所に建てられた。県が進める環境教育推進事業の一環。支援者も「継承に向け、また一歩前進」と歓迎している。

 看板は鉱山跡地周辺や、南北に長い土呂久の各集落ごとに設置された。地区の入り口にある公民館の看板では、地区全体の地図で31カ所の見学場所を写真付きで紹介。坑道の跡地や、公害の苦しみを詠んだ短歌が刻まれた女性の墓などがわかる。鉱石を焼いて公害の原因物質ヒ素を含む煙を排出した窯など、今では残っていない場所も記した。

 土呂久公害はイタイイタイ病や水俣病に次いで、国が1973年に公害病として認定。救済活動が進み、今は自然も戻ったが、公害を語る資料館や看板は、これまで無かった。地域で当時を知る人も減る中、住民や支援者から案内看板の設置を望む声が出ており、県が応える形となった。

 支援者の一人、アジア砒(ひ)素ネットワーク(AAN)の川原一之さんは「公害に限らず、自然と人が生きてきた営みを学べる環境学習の場にしたい」と話した。(小出大貴)