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 有権者にとって、地方議員と接する機会はそう多くない。都市部ではお祭りにきた議員から握手を求められるくらいだ。だから、いざ議員に相談するとなるとハードルが高い。「見返りに選挙で協力をお願いされないか」「そもそも誰にお願いすれば」――。

 政治の議論ができるアプリ「ポリポリ」を開発した株式会社「PoliPoli(ポリポリ)」代表の伊藤和真さんが3月、ツイッターでこう呼びかけた。

 「身の回りに課題を感じて議員さんに話しに行こうとしたけど、どの議員さんに伝えればいいか分からずに、結局伝えられていない方いませんか?」

 有権者が伝えられなかった課題を募って、代わりに議員に伝えてみようという試みだ。「議員にとっては若者への接触が難しいのが課題。でも、有権者も自分の課題をどこに伝えればいいかわからないという課題があるのでは」と言う。

 記者(43)も2年前、地域の住民の悩みを伝えようとして困った経験がある。

 長男(4)は障害があって一般の保育園で預かってもらえない。そこで利用しているのが、自宅で保育士が日中、預かってくれるサービス。東京都内の一部の区が実施していて、利用者は保育料と保育士の交通費を負担する仕組みだ。

 ただ、利用者の間で「交通費の負担が大きい」という話が持ち上がった。都は交通費の補助制度を設けていたが、記者の住んでいる区は当時、その制度を導入していなかった。

 利用者数人で要望書をつくって区役所に働きかけたが、厳しい反応だった。「では、区議に相談してみては」との声が出た。

 記者は仕事がら国会議員とつきあいはあるが、地元議員の知り合いはいない。区議会のホームページをみて関心のありそうな議員を探したが、誰に相談すればいいかわからない。

 そんな中、利用者の一人が知り合いの議員に相談した。悩みを理解してくれた議員が区役所に電話をすると、補助制度の導入が決まった。

 「議員は有権者の代わりに地方政治に参画している存在。遠慮する必要はありません」。社会起業家で、政治家に働きかける経験が豊富なNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんは言う。

 地域で困っていること、改善してほしいことがあれば、まず自治体の窓口に相談することが多い。だが、議員にも同じように相談すればいい。議員にとっても地域の社会的な課題や住民の悩みがわかるというメリットがあるからだ。「一緒に課題を解決しようという姿勢の議員を見つけることが、解決への近道です」

 議員がどの分野に力を入れているかはホームページやSNSをみればわかるという。事前に約束をとりつけ、敬意をもって接するといったマナーは守るべきだと指摘するが、見返りについては「誰に投票するかはあくまでも個人の自由なので、投票してもしなくてもいい。パーティー券を買わなければ態度が変わるようであれば、その程度の人なんだと割り切ればいい」。

 統一地方選が始まり、街には政治家のポスターが目につくようになった。相談できそうな議員はいるだろうか。(山下剛)