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 日本語で小説を書く米国生まれの作家で、「英語でよむ万葉集」(岩波新書)の著作があるリービ英雄・法政大学教授に、万葉集から新元号が生まれたことへの受け止めを聞いた。

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 新元号が「令和(れいわ)」だと知った当初はピンとこなかった。典拠は万葉集で、歌そのものではなく、漢文で書かれた序文が出典だというので、なおさら不思議に思ったのと同時に、興奮もした。出典とされたくだりでは、新年に人々が集まり、すがすがしい気持ちで梅の花をめでる歌をよむ。奈良時代の宮廷歌人たちの新年を迎える気分がよく伝わる場面だ。

 日本人の書く漢文、中国語には長い伝統がある。梅の花をめでる文化も中国大陸からきたものだ。「令和」の出典となったくだりには、そうした国際性と、やまと言葉で見事に柔らかい歌をよむ日本性が同時に感じられ、新時代を祝う考案者の意図に気づいた今は「なるほど」と感心している。

 万葉集の話題も含めて、作家の多和田葉子さんや温又柔(おん・ゆうじゅう)さんらと対談した日本文学論「バイリンガル・エキサイトメント」を3月に出したばかり。日本語では「多言語的高揚感」あるいは「異言語に触発された高揚感」と言えばいいだろうか。「令和」からもそうした高揚を感じる。いい元号ではないか。