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 第91回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催、朝日新聞社後援)に出場した智弁和歌山、市和歌山の2校は、頂点には届かなかったが、いずれも8強入りし、県勢のレベルの高さを示した。2校の春を振り返る。(成田愛恵)

 昨春準優勝の悔しさを胸に「紫紺の優勝旗を和歌山に」と臨んだ智弁和歌山。昨秋の近畿大会でコールド負けした明石商(兵庫)へのリベンジを期した準々決勝は、サヨナラ本塁打を打たれて敗れた。

 昨夏、新チームが発足すると高嶋仁前監督から中谷仁監督(39)へと交代し、チームは転換点を迎えた。新監督の教えは、「自分のやるべきことは何かを自分で考えて取り組む」「その結果を出すために何をしてきたかの過程を大切に」。課題を自分で見つけ、自分で克服法を考えることに重点を置いた。

 初戦の熊本西(熊本)戦では二回まで無安打だったが、選手たち自らで相手投手の攻略法を考え、三、四回で突き放した。雨で2時間近い中断となった2回戦の啓新(福井)戦でも集中力を切らさなかった。

 明石商戦で再三の好機を生かせないなど、勝負どころでの攻撃に課題を残したが、投手陣の成長が見られた大会だった。エース池田陽佑君(3年)は啓新戦で完投。明石商戦に2番手で登板した小林樹斗(たつと)君(2年)は勢いある直球を生かした投球で相手に傾きかけた流れを引き寄せた。

 5季連続の甲子園出場もかかる夏。大きく躍動する姿を期待したい。

 市和歌山は「粘り強く守る野球」を徹底した。岩本真之介君(2年)がテンポ良く打たせて取り、開幕戦の呉(広島)戦は3―2、続く高松商(香川)戦は6―2で勝利。半田真一監督(38)が「越えたい」と話していた2回戦の壁を越え、52年ぶりの8強入りを果たした。

 ただ、準々決勝の習志野(千葉)戦では、継投した相手エースを攻略できなかった。「140キロを投げる全国レベルの投手に対応出来なかった」と主将の米田航輝君(3年)。3試合を通して27安打に対し残塁18と得点力の向上にも課題が残った。

 甲子園入りして地元の子どもたちとの間には交流が生まれた。開幕戦を終えた頃から、選手たちが自主練習をする宿舎近くの公園で小学生たちが「お兄ちゃんたちどこの高校」「野球教えて」と話しかけてきたという。「自分にも甲子園に出ている高校生に憧れている頃があった」と話す緒方隆之介君(3年)。テレビで試合を見た小学生が「ホームランを打ちたい」と打撃練習に来たといい、すでに小学生の「憧れのお兄ちゃん」になっていた。

 和歌山、そして全国の野球少年たちに再び活躍する姿を見せられるか。夏に向け期待が高まる。

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