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 本州と九州を新たに結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)の事業化調査をめぐり、国土交通副大臣の塚田一郎氏は、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の地元事業と紹介した上で、「国直轄の調査に引き上げた。私が忖度(そんたく)した」と語った。北九州市で1日にあった福岡県知事選の自民党推薦候補の集会で語った。塚田氏は2日、発言を撤回し、謝罪した。

 塚田氏は自民参院議員(新潟選挙区)で麻生派。所管官庁の副大臣が政権中枢に配慮し、その地元へ利益誘導をしたと認める発言で、国会などで批判が出そうだ。

 下北道路は、関門海峡を挟む安倍首相の選挙区の山口県下関市と、中選挙区時代に麻生氏の地盤だった北九州市を結ぶ構想だ。財政難で福田康夫政権時代の2008年に凍結されたが、17年度に地元自治体の予算と国の補助で調査を再開。国は先月29日、19年度からは、国が調査費用を全額負担することを発表した。

 塚田氏は調査が国に移った経緯を説明。副大臣室で面会した自民の吉田博美参院幹事長から「これは総理と副総理の地元の事業だ」と言われ、「分かりました」と応じた、といったやりとりを集会で披露。さらに「総理とか副総理がそんなこと言えません。でも、私は忖度します」と述べた。

 塚田氏は2日、文書で「一連の発言は事実と異なるため撤回し、謝罪する」とのコメントを出した。

 菅義偉官房長官は同日の記者会見で、「本人から丁寧に説明を行うことが必要だ」と語った。

     ◇

 塚田一郎・国土交通副大臣(自民党参院議員)が1日夜、北九州市で開かれた福岡県知事選の自民党推薦の新顔候補の集会で発言した主な内容は、次の通り。

 私は麻生太郎(副総理)命、一筋でやってきた。筋金入りの麻生派です。

 私は新潟県連の会長をやってまして、地元も県議選、市議選(が行われている)。帰って応援しようと思ってたが、かわいい弟分の(自民麻生派の)大家敏志参院議員が小倉に来て激励してくれと。渡世の義理には勝てません。麻生派は渡世の義理だけで動いています。ほとんどやせ我慢の団体。私はやせてませんが。私は夏に参院選があるが、自分の票を削って北九州に参った。

 国交副大臣なので、ちょっとだけ仕事の話を。大家さんが吉田博美・自民参議院幹事長と一緒に、「地元の要望がある」と副大臣室に来た。下関北九州道路(の案件)です。

 これは11年前に凍結されているんです。何とかせにゃならん。下関と北九州ですよ。よく考えてください。下関は誰の地盤ですか。安倍晋三総理です。総理から麻生副総理の地元でもある北九州への道路事業が止まっている。

 吉田幹事長が私の顔を見て、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」と。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度(そんたく)します。「分かりました」と。

 そりゃ総理とか副総理がそんなこと言えません。でも私は忖度(そんたく)します。この事業を再スタートするには、いったん国で調査を引き取らせてもらいます、と。今回の新年度の予算で、国で直轄の調査計画に引き上げました。

 別に知事に頼まれたからやったわけじゃないですよ。大家敏志が言ってきた、そして私が忖度した、ということですので。

 おそらく橋を架ける形で調査を進めて、できるだけ早くみなさまのもとに、橋が通るように頑張りたい。

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 塚田一郎・国土交通副大臣(自民党参院議員)が2日、福岡県政記者クラブに文書で送ったコメントの要旨は次の通り。

 1日に行われた自民推薦候補の応援演説で、「総理とか副総理が言えないので、私が忖度(そんたく)した」「これは総理と副総理の地元の事業だよと言われた」「私は物わかりがいい。すぐ忖度する。分かりましたと応じた」と発言しましたが、一連の発言は事実と異なるため撤回し、謝罪申し上げます。

 下関北九州道路については今般、国において事業の必要性などを鑑み、直轄調査を実施することとしたところです。