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(3日、選抜高校野球決勝 東邦6―0習志野)

 決勝の主役は、背番号「1」だった。

 東邦の石川が右手を突き上げる。五回2死二塁、初球。右中間への強烈な一撃だった。一回に続く本塁打。「(習志野の)飯塚はいい投手。1球目は空振りでもいいから振ろうと思っていた」。相手エースとの勝負を楽しんでいた。

 リードは5点に広がった。「これで『いける』と思った」と森田監督。石川の思いは、少し違った。「投手の方で楽になるな」

 マウンドで対峙(たいじ)する相手は、何を仕掛けてくるかわからない試合巧者の習志野。石川に焦燥感はない。自分の投球だけに集中していた。「調子が悪くて、二回か三回にひじをサイド気味に下げて調整しました」。まるでキャッチボールをするように悠々と投げ進めた。

 準々決勝と準決勝、先発投手としては光ったが、打撃では9打数無安打。本来は野手志望なだけに、準決勝後には「ピッチャーになっちゃいました」とおどけていた。それが、決勝では史上2人目となる2本の本塁打。投げては散発3安打で二塁を踏ませず、97球で完封を果たした。

 両親はともに東邦出身。「生まれたときから東邦に入ることは決まっていた」と笑う。「(石川)昂弥(たかや)がいたから、優勝を宣言できた」と森田監督。そして、「平成最初と最後で優勝」がかかる大一番で、不思議な縁を感じさせるように大活躍。「うれしいです。最初は優勝できると思っていなかったんで」と石川。できすぎたストーリーに、最高の形で幕を下ろした。(小俣勇貴