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 統一地方選の前半戦、知事選は7日投開票され、無所属で新顔の丸山達也氏(49)が、いずれも無所属新顔の大庭誠司(59)=自民推薦=、島田二郎(65)、山崎泰子(57)=共産推薦=の3氏を破り、初当選を決めた。自民党の大半の県議が丸山氏を推す一方、国会議員らが大庭氏を支持する構図となった44年ぶりの保守分裂選挙。投票率は62・04%(前回59・56%)だった。

 3期12年務めた現職、溝口善兵衛知事の後任を争う今回の選挙は、元総務省消防庁国民保護室長の丸山氏と元総務省消防庁次長の大庭氏が激しく競った。

 選挙期間中、丸山氏は「党派を超えたオール島根で人口減に打ち勝つ」と繰り返し、若さと行動力を強調しながら支持を訴えた。3月21日の告示日に県庁前に2千人の聴衆が集まるなど幅広い支持を得た。

 大庭氏は「子育て教育環境日本一を目指す」、元安来市長の島田氏は「地域経済を底上げする」、女性団体会長の山崎氏は「島根原発はもう動かさない」などと訴えたが及ばなかった。

 「自民王国」での44年ぶりの保守分裂選挙は、今夏の参院選へ向けた懸念材料ともなりかねない。

 自民の若手・中堅県議14人が丸山氏を推す動きが表面化したのは昨年4月。さらに丸山氏派は立憲民主党などの県議の支援を取り付けた上で、12月に自民党県連に推薦願を提出した。

 これに反発したベテラン県議がかついだ大庭氏に加え、島田氏も推薦願を提出。国会議員は年明けに県連として大庭氏の擁立を決定したが、丸山、島田両氏は納得せず、分裂選挙が避けられない状態になった。

分裂の意味、届いたのか

 国会議員が選んだ知事候補を一丸となって県議や市町村議が応援する「慣行」が、44年ぶりに崩れた。「自民王国」とも称された県内の自民党が割れるという歴史的な選挙になった。

 竹下亘衆院議員や青木幹雄氏の影響力に陰りが見える中、自民県議の大半が丸山氏に付き、国会議員が大庭氏を支援した。党県連関係者によると、両氏の情勢は抜きつ抜かれつだったという。

 両氏とも県政の最大の課題に人口減少を挙げ、丸山氏は「党派を超えたオール島根で立ち向かう」と訴え、大庭氏は「国との太いパイプを生かす」と主張した。争点は「方法論」の違いだった。

 しかし、その争いは有権者にどう映ったのだろう。

 「どちらかの候補の街頭演説にだけ聴衆が多くて、もう片方が少ないとなると、『もしも』のときに困るでしょう。どちらも応援しとかんと」。県西部で両陣営の街頭演説に足を運んだという自営業の男性(73)の言葉は印象的だ。一体、何のための分裂か、有権者に届きにくかったのではないだろうか。

 中山間地域や離島では人口減少が特に激しく、「待ったなし」の状態だ。「あいつは選挙で敵だった」といったしこりが尾を引き、県民を置いてけぼりにしないこと。両陣営にはまずそのことが求められる。(内田快)