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医の手帳・胃がん(1)

 高齢になると様々な病気にかかりやすくなりますが、日本人の死亡原因の1位は「悪性腫瘍(しゅよう)(がん)」です。「胃がん」は、その中で最もよく知られているがんの一つです。厚生労働省が今年1月に発表した2016年の都道府県別のがんの罹患(りかん)率で、新潟県は胃がんの罹患率が全国1位でした。

 現在は肺がんや大腸がん、女性では乳がんなど他の臓器のがんが増加しており、がん全体に占める胃がんの割合は低下しています。しかし、高齢になって見つかるケースが増えており、総数は増加しています。内視鏡で早期のがんを切りとった数年後に2個目、3個目のがんが見つかるケースも少なくありません。

 一方で、胃がんにかかった方が胃がんで亡くなる総数は減っています。これには二つの理由が考えられています。

 一つは、内視鏡(胃カメラ)を使用した検診、あるいは人間ドックが行われるようになり、小さいがんを早期に発見できるようになったことです。少し前までは検診と言えば、検診車が回ってきて、被検者が決しておいしくないバリウムを飲んでX線写真を撮影することが行われていました。しかし、小さいがんを発見するには、検査の精度と診断力が問われ、バリウム写真では限界がありました。内視鏡を用いた検査は、機器の進歩と内視鏡医の能力の向上に伴い、急速に普及し胃がんの早期発見に貢献しています。

 二つ目は、おなかを切らずに早期のがんを切りとることで、完全に治すことができるようになったことです。治療後は、食生活の質を落とさず過ごすことができます。

 胃がん対策のポイントは、かからないようにする『予防』と『早期発見』です。これからの高齢化社会に対し、私たちは自分の健康を維持することに日々意識することが重要です。(新潟大学医学部 健康寿命延伸・消化器疾患先制医学講座 橋本哲・特任准教授)