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 飲み会での「ビール1強」から、色々な種類を気楽に「家飲み」する時代へ――。平成のお酒事情の移り変わりをたどると、「自由なお酒」を求めるようになった人々の意識の変化も見えてきます。

 「飲み会では、飲めない人も『とりあえずビール』。それ以外は、選択肢があまりなかったよ」。1976年に就職した男性(66)は、平成当初の様子を、そう振り返る。

 国税庁によると、89(平成元)年度には酒の販売量の7割をビールが占めていた。そんな「ビール1強」の時代を象徴していた言葉が、「とりあえずビール」。酒の歴史に詳しい酒文化研究所の山田聡昭(としあき)さん(56)は、「この言葉が盛んに使われるようになったのは、昭和終盤の80年代」と話す。

 「とりあえず」の後も引き続きビールか、お好みで焼酎や日本酒。ウイスキーやリキュールは、たまに気取った店で少々――。そんな飲み方が、酒場での定番だった。

 ところが平成の30年間は、ワインや焼酎、ハイボール、日本酒など様々な酒のブームが順番に訪れて、酒の多様化が進んだ。今やビールの割合は3割まで減り、「1強」は崩れた。かわりに存在感を増してきたのが、缶チューハイや「第3のビール」だ。これらが分類される、リキュール▽その他の醸造酒等▽スピリッツ等、の販売量をあわせると、2017(平成29)年度は3分の1までシェアを広げている=グラフ。

 背景にあったのが、社会情勢と販売戦略の変化だ。

 89年から酒販免許の規制が段階的に緩和され、それまで酒屋で買っていた酒が、大型ディスカウント店を始め、次第にスーパーやコンビニエンスストアでも買えるように。バブル後の長い景気低迷で、企業や個人の財布のひもがきつくなる中、メーカー各社は、低価格の缶入りアルコール飲料を次々に投入した。

 まず世間を泡立たせたのは「ビールじゃないビール」だった。94(同6)年、サントリーが麦芽比率を下げて酒税を低くした発泡酒を発表。04(同16)年には、のちに第3のビールと呼ばれる、麦芽を使わないビール風飲料をサッポロビールが発売。調査会社のインテージによると、「第3」の家庭購入量は発売2年後の06(同18)年にはビールや発泡酒を追い抜き、以降12年間、ビールジャンルで不動の1位だ。

 さらに00年以降は、レモンやグレープフルーツなどの果汁感を打ち出した缶チューハイや缶ハイボールなどもヒット。炭酸などを用意しなくても、プルトップを開ければすぐに飲めるこうした飲料は「RTD」(Ready To Drink)とも呼ばれ、手軽さで人気を集めた。

 キリンビールでRTD戦略に携わる名郷根(なごうね)宗(たかし)さん(32)は「それまで選択肢が少なく、積極的には飲まなかった層が、味の種類が豊富になったことで(RTDを)手に取るようになったのでは」。酒文化研究所の山田さんは、RTDが人気となった理由を「合わせるつまみに気を使いがちなワインや日本酒と異なり、どんな料理にも合わせやすく、グビグビと飲みやすい『普段着の酒』だからでは」と分析する。

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