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 根っからのラグビーファンからにわかファンまで、誰でも住民登録を――。そんな地図にはない「ラグビー村」の人口が増え続けている。その名も「丸の内15丁目プロジェクト」。15人でプレーするラグビーにちなんだ架空の「自治体」だが、昨年末からウェブで募っている住民は月1千人ペースで増え、4月現在、3千人を突破した。「15丁目」が目指すものとは。

 「この人口減社会のなかで、ラグビーを応援しようという趣旨に賛同してくれる人の集合体を街や村に見立てるのは、面白いと思いませんか。よく、全国市町村の人口ランキングと、見比べているんですよ」

 プロジェクトの仕掛け人、三菱地所ラグビーワールドカップ(W杯)2019プロジェクト推進室統括の高田晋作さん(40)は、声を弾ませる。

 国勢調査や各自治体の発表などによると、「ラグビー村」の人口はこの3カ月ほどで、全国に実際に存在する村のトップ100位入りした。

 村で最も人口が多いとされるのが、約3万9千人とされる沖縄県読谷村だ。W杯本番を迎える9月までには、全国の村でトップの4万人を目指すのか? 高田さんにそう聞くと、「それぐらい、いけたらいいですね」。身長191センチの大きな体を揺らして笑った。

 高田さんはラグビー界では広く知られた存在だ。

 慶大蹴球部(ラグビー部)が創部100周年の時、大学選手権で優勝したチームの主将だった。現在はラグビーW杯のオフィシャルスポンサーの立場として、ラグビーファンを増やすあらゆる企画に知恵を絞っている。

 「自分が打ち込んできたラグビーのW杯が日本で開かれるなんて、まさに一生に一度の機会。ラグビーの魅力をたくさんの人に伝え、街づくりにつなげられたら。この機会を社会にどう生かすかという視点も欠かさないようにしたい」

 立ち上げた企画の一つに、「ラグビー×劇場」がある。ことし1月、ラグビー好きのよしもと芸人が競技の魅力を日替わりで語り尽くした。元ラガーマンの兄弟コンビ「中川家」をはじめ、「ジャルジャル」「スリムクラブ」「和牛」……。人気芸人が連日、同社が所有する丸ビル1階の特設ステージに登場した。ラグビーをいままで見たことがなくても、「和牛」を見るために、開演4時間も前から並んだ人もいた。

 トップバッターで登場した中川家のステージ「ラグビーあるある」は、ラグビー経験者ならではの独自の視点で面白おかしく、ラグビーの観戦ポイントを紹介。

 「(日本代表主将の)リーチ・マイケルは、普段はものすごく声がちっさい」

 「(日本代表スクラムハーフの)田中選手は、ビデオ判定(TMO)で反則をとられないように、試合前にはカメラ位置をチェック。試合中も、背中でボールを隠す。これ、知ってました?」

 軽妙なボケとツッコミに通りがかりの人も思わず足を止めた。

 「いまはとにかく、ラグビーファンの裾野を広げていく時期ですから。その入り口もいろいろある方がいい。堅いイメージのある会社ですが、お笑いのような柔らかいものにも、思い切ってチャレンジした」と、高田さん。ラグビーそのものが盛り上がらなければ、W杯スポンサーとしての価値も半減するとの思いが根底にある。

 にわかファンも歓迎の「15丁目」だが、いずれ住民には本物のファンになって欲しい。9月の開幕に向けて、まだまだ仕掛けは続く。