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 水俣病の教訓を考える記念講演会「民を棄(す)てる国」(水俣フォーラム、朝日新聞社主催)が7日、東京の有楽町マリオン朝日ホールで開かれた。

 1996年に始まったこの講演会は、今回17回目。作家の木村友祐(きむらゆうすけ)さんが司会を務め、510人が4人の講演者の話に聴き入った。

 小笹恵(おざさめぐみ)さんは熊本県水俣市で育ち、その後、大阪へ移住した。亡くなった父は、最高裁が水俣病被害の拡大責任が国にあることを認めた関西訴訟の初代原告団長。病苦や貧困の中で、父親に反発し水俣病を隠してきた気持ちが、次第に自ら原告となる決意に変わる葛藤の日々を、涙ながらに振り返った。

 作家のC・W・ニコルさんは、長野県で自ら実践している森づくりなどを映像とともに紹介し、「人間は自然を破壊できるが、愛情と汗と知恵があれば、その自然を直せる」と話した。

 経済評論家の佐高信さんは「『公害』という言葉に抵抗がある。水俣病は『公害』なのか。ストレートに言えば『企業害』『政治害』だと思う。それを『公害』と呼ぶと、問題の根源をあいまいにする」と訴えた。

 水俣病第1次訴訟を理論的に支え、50年にわたって水俣病問題を見てきた法学者、富樫(とがし)貞夫さんは「現在の水俣病のイメージは重症者に偏りすぎている。水俣病と認定されない人たちの中には、厳密に見れば水俣病というべき人たちがいる。地球上の水銀汚染対策を考える上で、この偏ったイメージは非常にマイナス。これで水俣病を終わりにするなど、とんでもない」と指摘した。(野上隆生