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 「犬の殺処分ゼロ」を訴える元アイドルがいる。SKE48の元メンバー、桑原みずきさん(27)。振付師やダンサーとして活動するかたわら、SNSで積極的に保護犬について発信している。この春にはペット犬のしつけをするドッグトレーナーの資格も取った。

 3月中旬、東京都内の公園。桑原さんは愛犬の「友美(ともみ)」(雑種、推定4歳)の頭をしきりになで、「犬との信頼関係をつくるためには、安心してもらうことが大事。しかるのではなく、ほめることを心がけている」と笑みを浮かべた。

 友美を飼い始めたのは2年前。都内にある「ペット可」のマンションに引っ越したのがきっかけだった。かつて高知県の実家でも保護犬を飼った経験があり、「犬を飼うなら保護犬と決めていた」と、都内で引き取り手を探している保護団体の施設を訪ねた。

 ペットショップで売られている犬の多くが純血種なのと違い、保護犬には雑種犬が多い。ただ雑種は1匹1匹、顔や毛並みが違い、世界で「この子だけ」と思える存在だと桑原さんは言う。施設で一番愛想のなかった友美を「愛情を注ぎたい」と引き取った。

 友美を育てながら保護犬について調べるうちに、行政施設に保護された犬が一定期間後に殺処分される現実を知り、「友美と同じ境遇の犬が殺処分されていくと考えると、暗い気持ちになった」。それから「殺処分をゼロにしたい」と強く思うようになったという。

 自分にできることは何か。思いついたのは、SKE48でのアイドル経験と、今も芸能界に身を置く立場から発信し、引き取り手を待つ保護犬がいること、保護犬のかわいさを多くの人に知ってもらうことだった。

 桑原さんは高校2年生だった08年夏、SKE48に松井珠理奈さんらとともに1期生として入った。地元を離れ、名古屋の高校、大学に通いながら、約5年間活動。13年春にグループを「卒業」し、14年春からは東京に拠点を移して振付師やダンサーとしての活動を重ねている。

 ツイッターのフォロワーはSKE48時代からのファンを中心に4万5千人以上いる。そのフォロワーに向けて、友美の写真を「#殺処分ゼロ」「#保護犬」といったハッシュタグをつけて積極的に投稿している。

 「理解を広めるためには、もっと勉強しなければいけない」と、昨年4月からドッグトレーナーの専門学校にも通った。知り合いの犬のしつけや、犬の保育園での実習などにも取り組んだ。今年3月、ドッグトレーナーの認定を受けた。

 桑原さんは資格を生かし、今後さらに発信するという。「保護犬は一筋縄にはいかない。だからこそ、最初は遠く感じた距離が次第に近くなり、なついてくれたときの喜びが大きい。犬を飼い始める時、保護犬という選択肢をもった人を1人でも増やすことができればうれしい」と話している。(小松隆次郎)