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 相次ぐ学校事故を受け、国は全国の事故の検証報告書を集約し、その教訓を学校現場と共有する取り組みを2016年度から始めた。だが、文部科学省が把握した全国の死亡事故のうち、集まった報告は1割に満たず、再発防止の枠組みは十分に機能していない。

 文科省が16年に示した「学校事故対応に関する指針」では、死亡事故が起きると、学校は3日以内をめどに教職員や生徒から聞き取る基本調査を実施。そのうえで、授業や部活動など教育活動による場合や、家族から要望がある場合などは、学校設置者は外部の専門家らによる詳細調査を行う。都道府県教委などは報告書を国に提出。国は全国の学校に教訓を伝え、事故の再発を防ぐ狙いだ。

 文科省は取材に、17年度までの2年間に56件の死亡事故を把握しながら、詳細調査の報告書は4件しか提出されていないと明らかにした。残り52件は、事故の大まかな概要のみ説明。自治体名などを明かさないため、朝日新聞は過去の報道などから31件を特定し、事故後の対応を調べた。

 すると、詳細調査をしていないのは27件もあった。調査を終えたが、文科省が把握していなかったのが2件、報告の準備中が1件、調査中が1件あった。詳細調査をしない理由は「保護者の要望がなかった」「警察の捜査が行われた」など。調査を望むか意向を聞かれていない遺族もいた。

 指針は事故に遭った遺族や保護者らに対し、誠意をもって支援を継続していくことを求めている。背景には、学校で重大事故が起きても、遺族らが望む検証と十分な情報提供が行われなかったことがある。

 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人で、長男をラグビー部の活動中に熱中症で亡くした宮脇勝哉さん(61)は「ようやく指針ができたが、相談を寄せてくる遺族らの多くは現状に納得していない。きちんとした対応がとられず、『私たちの人権は守られていないのではないか』と感じている。遺族らが求めているのは事実の解明だ」と話す。

 指針が徹底されていないことについて、文科省の担当者は、調査すべき事故で実施されていない例や報告漏れがあると認めつつ、「教育委員会の独立性も尊重する必要がある。指針に強制力はなく、周知に努めていくしかない」と述べる。集まった教訓をどう生かしていくかも「具体的な方法は決まっておらず、今後の課題」としている。

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