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 ちょっと変わった山岳雑誌が誕生した。季刊誌「ヤクのあしあと」。主にアニメやゲームなどインドア趣味に熱中する、山登りとは縁遠い人たち向けだ。発行した姫野栄志さん(33)=長野県松本市安曇=は「独特な世界観で、登山の魅力を伝えたい」と意気込む。

 姫野さんは4年前、趣味の風景写真の撮影で上高地を訪ね、穂高連峰の姿に圧倒された。以来、登山にのめり込み、脱サラ。昨夏には穂高岳のふもと近くに移住した。「体育会系の人たちは放っておいても山に来る。寄りつきそうもない人たちも、山に来てほしい」と雑誌づくりを思い立ち、企画、編集、発行などすべてを一人でこなした。

 普通の山岳雑誌に載る、ルート案内や紀行、登山技術のハウツーなどはない。「創刊号はインパクトの強いものを」と、特集は「『山ドール』の世界」。山と人形という異色の組み合わせだ。

 欧州アルプスの名峰グランドジョラスの大自然を背景に、ピッケルを肩にした背丈50センチほどのバーチャルアイドル「鏡音リン」がポーズをとる写真や、厳冬の北アルプス・槍ケ岳山頂にたたずむテレビアニメのキャラクター「高町ヴィヴィオ」の写真などが、ふんだんに載る。

 ドールを運び、撮影したのは写真家Sige(シゲ)さん。服装や小道具へのこだわりはすごい。着せる登山用ウェアやミニサイズのピッケルは高価な特注品だ。撮影中に山で出会ったワンゲル女子学生には「ヤベェのがいる」とささやかれた。ドールを「うちの子」と呼ぶSigeさんは同誌のインタビューで「あなたにとってドールはどんな存在か」と問われ、「それは『あなたにとって山はどんな存在か』と同じ質問」と返す。

 姫野さんは「登山もドールも、知れば知るほど奥深い世界。彼らのまじめな活動を、一度、色眼鏡を外してみてほしい」という。

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