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 「認知症カフェ」をご存じでしょうか。認知症の当事者やその家族が気兼ねなく過ごしたり、情報交換したりする憩いの場として、各地に広がっています。高齢者の7人に1人が認知症と言われる現代。中国地方でも特色を生かしたカフェが増えています。

 平日水曜日の昼下がり、山口県宇部市にある空き店舗を活用した認知症カフェに、高齢者のにぎやかな声が響いた。介護福祉士の小坂初恵さん(54)が代表を務める「カフェ夏みかん」。窓際には、昭和30年代に使われていたミシンやアイロン、黒電話などがずらりと並び、高齢者らが思い出を語り合っていた。

 夏みかんでは、記憶を呼び覚ますことで脳の働きを活発化させる回想法を採り入れている。昔の生活道具は、この空き店舗を活動拠点にする地元劇団が使う小道具で、「お年寄りたちの刺激になるのでは」と借りたのがきっかけだ。

 昭和の懐かしい品々に、参加者は「若いとき、これ使ってたわ。懐かしいね」と振り返り、使い方を説明する人も。小坂さんは「昔のことだったら、みんな一生懸命。生き生きとした表情になるんです」と話す。

 今後、自分が育った昔の街並みを再現する地図作りにも取り組む考え。画用紙に自分の家や商店を描いていく。記憶の糸をたぐり寄せることで「あの頃」の暮らしがよみがえっていく。

 小坂さんは「高齢者に興味を持ってもらうことが大切」と言う。会話のきっかけが生まれ、丁寧に話を聞くことで信頼関係が深まる。高齢者の自信にもつながるという。

 小坂さんが夏みかんを始めたの…

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