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 今夏から民間事業者が運営を担うことになった徳島市の阿波踊り。受託した共同事業体の責任者を務める前田三郎・キョードー東京取締役兼キョードーファクトリー社長(63)が朝日新聞の取材に応じた。全国を代表する夏の風物詩・阿波踊りにかける思いを聞いた。

興行師のさが むくむくと動いた

 ――阿波踊り事業に応募した理由は

 徳島の友人たちが、阿波踊り事業の指定管理(の公募)があると教えてくれた。日本を代表する祭りで、財産である阿波踊りに携われるということが私たちにとって魅力だった。昨年のニュースを見ていて、大変だなと思っていたが、「手伝えることが自分たちにあるなら」とむくむくと興行師・キョードー東京が持っているさがみたいなものが動いた。30年ほど前に企業連で踊らせてもらった経験もある。徳島の人たちと協力しないと絶対に仕事ができないと思い、ネオビエントさんをお誘いした。

 徳島市出身でアート集団「チームラボ」代表の猪子寿之君のことをずっと応援していて、彼とのつながりで東大連に参加する形で、学生と一緒に踊りに参加したこともあるんですよ。3月末の事業コンペに参加する前も彼と話した。阿波踊りは、(クラブイベントなどで有名な)スペインのリゾート地・イビサ島やブラジルのサンバのカーニバルとも同じ可能性を持っている。誰もが参加できる祭りとして世界最大だと思う。見に来る人、踊り手、照明や音響など祭りを仕切るプロデュースチームの三位一体でやる仕事ということでは私たちのやってきた仕事と共通し、だからこそプロモーターとしての気持ちが動いてしまった。

 ――公募の仕様書では、有料桟敷の観覧料を決められ、収益から納付金を求められるなど縛りが多い。企業として利益が出せますか

 当然、収益や経済的なことは着地させなければいけないが、でもそれ以上にこの阿波踊りというエンターテインメントをやってみたい、プロデュースしたいという気持ちの方が大きかった。確かに毎年の納付金など経済的な負担は大きいが、前提条件が付くことは自分たちにとっては当たり前。例えばポール・マッカートニーの来日公演では、事前に会場を押さえるだけで数千万円が必要だとか、事前に契約金を払うとかを経験している。今回の阿波踊りも、それぐらいのリスクを覚悟できないなら手を挙げる資格はないという思いで挑んだ。市民や踊り手、市役所の方々とかここで苦労している人たちのためにも自分たちで負えるリスクはしっかり取る。

 ――阿波踊りのコンテンツとして魅力は。コンサートや舞台との違いは

 これまで手がけてきたコンサートや舞台などと一緒だと思っている。徳島新聞社が50年かけて興行性を持たせてやってきたことはすごいことだと思う。見に来た人は、有料の桟敷や町中で踊っている様子を見ながら自分も踊ることができる。参加できるエンターテインメントということが阿波踊りの魅力だと思う。すぐそこに本物の踊り手がいて空間を共有でき、中にまぜてもらえて踊れる。そういうエンターテインメントは他にない魅力だ。

世界とつなぐ自分たちの強みだ

 ――今回の共同事業体が目指す阿波踊りとは

 苦労した後に徳島の市民やお客さんたちの笑顔があったらいいと思っている。自分たちの理念に「笑顔と融和」がある。私たちの目指すエンターテインメントの究極の課題だ。コンサートをやっていて僕らお客さんの背中を見て、笑っている、(感動して)泣いていると、わかった時が一番うれしいんです。祭りに参加する親も子どもも、若い人もみんなニコニコ笑いながら汗をかいて踊っているのが見られたら一番うれしい。

 昨年、自分の好きな阿波踊りが混乱したニュースを東京のメディアを通して知ったとき、少し違和感を持った。権力対市民の構図があったのかもしれないが、総踊りを巡る騒動だけがフォーカスされてしまった。そういう意味で、みんなの笑顔が作れるような祭りにしていきたい。そのために踊り手の皆さんの意見を一つひとつ聞いていきたい。

 ――日本を代表する興行企業と…

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