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瀬戸内寂聴さん、萩原健一さんを悼む

 ショーケンこと萩原健一さんが三月二十六日に亡くなって、早くも二週間が過ぎた。その間、私はショーケンの追悼文を書きかけては胸に迫ってきて、涙があふれ書けなくなってしまう。仕方がないので、彼と一緒に仕事をした雑誌を繰り返し読んで気をまぎらわせている。

 ショーケンは生前、私とつきあっている間、いつも私のことを「おかあさん」と呼んでいた。毎朝早く電話がかかり、疳(かん)高い声で「おかあさん、お早よう」と呼びかける。「うるさいなあ、まだ寝てるよ」「もう六時すぎだよ。年寄りのくせにいつまで眠るの。あんまり眠ると、早く呆(ぼ)けるってよ」

 そういうショーケンは毎朝五時から一時間半も歩きつづけている。自慢のスタイルを保つためだそうだが、毎朝の電話で彼が私に伝えたいのは、二人の女性の噂話(うわさばなし)をしたいためであった。二人ともショーケンの熱烈なファンで、ひたすらショーケンと一緒に歩きたいために、毎朝やってくるという。一緒に歩くのは他にも男女十人くらいがいるらしい。

 ショーケンが私に話したいのは…

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