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 14日告示、21日投開票で市長選が実施される奈良県生駒市。大阪に近く、1970~90年代に人口が急増したものの、近年は微減傾向が続き、今月12万人を割り込んだ。急増時に転入した世代の高齢化が進み、介護予防や空き家対策が課題になっている。

 「1、2、3、4!」

 9日午前、近鉄菜畑駅前にある自治会館で、体操のかけ声が響いた。2月から毎週取り組んでいる「いきいき百歳体操」だ。60~90代のお年寄り約20人が、スクリーンの動画を見ながら、重りや椅子を使った筋力運動を30分間続けた。

 参加者からは「外出して体を動かす動機づけになっている」「一人暮らしでしゃべる機会が減ったので、助かる」といった声も。中心メンバーの金田秀子さん(77)は「体操の後に交流するサロンに発展させていければ」と期待する。

 百歳体操は、高知市が開発した介護予防のための運動。生駒市は3年前に採り入れた。最初の4回は市職員が会場に行って支援し、その後は各団体で続けてもらう仕組みだ。「65歳以上で3人以上なら始められます」と呼びかけ、現在は75カ所、参加者は約1200人に増えた。

 介護予防で要支援や要介護認定を受ける人数を減らせば、市の財政負担の抑制につながる。市地域包括ケア推進課の担当者は「DVDと椅子があればできる。歩いて行ける距離に1教室が目標」と話す。少ない男性の参加者をどう増やすかが、今後の課題だ。

     ◇

 高度成長期以降に開発が進んだニュータウンで、増えたのが空き家だ。市によると、2017年3月時点の空き家は1444棟。空き家率は2・8%だ。坂道の多い地域で目立った。

 「売買や賃貸を望むが、情報が少ない」。持ち主のこうした声に応え、空き家を次の世代に引き継ごうと昨年発足したのが「いこま空き家流通促進プラットホーム」だ。宅建士や建築士などの8団体が市と連携し、これまでに5軒で売買や賃貸借にこぎ着けた。

 売買が成立した物件の一つが、ニュータウンのあすか野地区にある一軒家。持ち主の黒田健男さん(79)は市外に移り、17年間空き家だった。家族で住んだ愛着があり、不動産のやりとりも不安で、手つかずだったという。

 そんな時に知ったのがプラットホーム。老朽化で建物を取り壊した時は涙が出たが、「市が関わるので安心して任せられた。ようやく手放せました」と振り返る。

 賃貸借が成立した物件は、借り手(32)も満足している。「現在の自宅が狭く、一戸建てを探していた。相場よりも安く借りられて良かった」

 市住宅政策室の担当者は「放っておくと空き家のままだが、人が住めば街に活気が出る」と話す。課題は認知度が低いこと。今後、中古物件の魅力を市のPRサイトで発信していく。

 生駒市は子育て世代の転入が増える一方で、65歳以上の割合は15年に25%を超え、40年には3人に1人となる見込みだ。市民の高齢化と共に、住宅地の高齢化も進む。どの世代にも住みやすい街へ、市がどう取り組むのか。有権者が託す一票は重い。(筒井次郎)