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 はしかが米国で大流行している。2000年に撲滅を宣言したが、今年に入って4月4日までに465人が感染。流行の中心地の一つニューヨーク市は9日、公衆衛生上の非常事態を宣言した。

 ニューヨーク市では昨年10月以降、285件が確認され、そのうちこの1週間だけで26件に上る。会見したデブラシオ市長は「2017年は2件だった。この危険な病気を復活させるわけにはいかない。直ちに行動をとる」。居住者や通勤・通学者に予防接種を義務づけ、ワクチンの未接種者には1千ドルの罰金を科す方針を明らかにした。

 米国での感染はニューヨーク周辺や西海岸北部など19州に広がる。米疾病対策センター(CDC)は、流行地域である東欧やイスラエルを訪れた旅行者がウイルスを持ち帰り、ワクチン未接種の人に感染が広まったとしている。

 米国では各州が学校に通う児童に必要な各種ワクチンを定めているが、宗教的理由や個人の信条でワクチン接種を免除できる州が大半を占める。ワクチン接種義務化が個人の自由を侵害すると考える保守層も多く、幼児のはしかのワクチン未接種率がじわじわと上昇している。

 世界保健機関(WHO)は今年の公衆衛生上の10の脅威の一つに「ワクチンを避ける態度」を挙げる。ワクチンの効果を疑問視したり、科学的根拠のないまま副反応があるとあおったりする誤情報が、ソーシャルメディアを通じて子を持つ親の間に拡散している。トランプ米大統領もかつてツイッターでワクチンが自閉症を引き起こすとの懐疑論をつぶやいている。

 はしかは最も感染力の高い病気の一つと言われる。WHOのタリク・ヤサレビッチ報道官は「はしかは他の病気のリトマス試験紙。はしかの予防接種を受けていない子どもは、他の重要なワクチンも受けていない可能性が高い。いつか大流行する結果になる」と警告している。(藤原学思=ニューヨーク、香取啓介)