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 若年で発症することが多い「1型糖尿病」の患者9人が、症状の改善が見られないのに障害基礎年金の支給を打ち切られたのは違法として、国に年金の支給再開を求めた訴訟の判決が11日、大阪地裁であった。三輪方大裁判長は国の処分を違法として取り消した。

 訴えていたのは大阪府、奈良県、福島県在住の27~50歳の男女。いずれも未成年の時に1型糖尿病を発症し、障害基礎年金を申請して「日常生活に著しい制限を受ける」状態である障害等級2級と認定され、それぞれ年間約77万~100万円を受給していた。だが国側は16年までに、9人が障害等級が3級に下がったとして支給を停止した。

 判決は、原告は年金支給を前提に生活設計をしており、支給停止は重大な不利益処分だとしたうえで、支給の認定基準が「非常に抽象的」であり、厚生労働省の簡潔な通知では停止の理由を理解するのは困難だと指摘。不利益処分には理由を示さなければならないと定めた行政手続法に違反しているとした。

 厚労省は「厳しい判決。通知についてわかりやすくできるよう検討する」とコメントを出した。

 1型は加齢や生活習慣などが原因の2型とは異なり、膵臓(すいぞう)のインスリン分泌機能が失われることで発症する。

通院諦め、食費切り詰め…

 「くじけそうになったこともあったが、頑張ってきて良かった」。原告の一人、大阪府岸和田市の滝谷香さん(36)は判決後の記者会見で笑顔を見せた。

 1型糖尿病は生活習慣などが原因の2型と異なり、膵臓(すいぞう)のインスリン分泌機能が失われることで発症する。滝谷さんは5歳の時に1型と診断され、小学校高学年から血糖値を下げるインスリン注射を自分で打ってきた。高校卒業後は保育士として働いたが、仕事中に低血糖で倒れたことも。出産を機に退職した。

 2016年、20歳から受給していた年金が突然打ち切りに。夫も1型で今も支給を受けているが、食費を切り詰め、合併症の進行を遅くするための通院をあきらめるなどしてしのいでいるという。滝谷さんは「私たちは声を上げられたが、寝たきりで訴えることさえできない人もいる。多くの人に病気を理解してもらいたい」と話した。

 弁護団によると、原告となった9人の他に、少なくとも26人が16年までに同様の理由で支給を停止されたという。弁護団は厚労省に控訴断念を求める方針だ。(大貫聡子)