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医の手帳・胃がん(2)

 胃がんの原因としては、遺伝的な要因もありますが、喫煙、塩分の取りすぎ、野菜摂取不足など、生活要因も発がんの原因として考えられています。しかし、発がんの最も大きいリスク因子として挙げられるのは『ピロリ菌』です。

 ピロリ菌はヘリコバクター・ピロリと言われる、胃の中にすむ細菌です。乳幼児期に両親、特に母親から口を介して感染されることが多いと言われています。この菌は胃酸の中でも生息することができ、胃の粘膜に胃炎を起こします。

 長期間にわたって胃炎が続くと、胃の粘膜は萎縮し、がんが発生しやすい状況に変化します。ピロリ菌の除菌が胃がんの発症予防につながることが報告され、現在、ピロリ菌除菌治療は保険として認められています。

 内視鏡検査は、ピロリ菌による萎縮した胃炎の変化をある程度とらえることが可能です。内視鏡で胃炎が疑われる場合、ピロリ菌が実際に胃の中にいるかどうかを、血液検査、便、胃粘膜採取または呼気検査などで調べることができます。

 陽性であれば除菌治療を受けることができます。除菌治療は胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害剤、抗生物質2種類を1週間内服する方法で、成功率は80%以上と高く、大きな副作用も少なく安全です。治療後に本当に除菌できたかどうか、もう一度ピロリ菌の確認をして判定します。除菌不成功の場合は、抗生物質を1剤変更して再度除菌する2次除菌も可能で、こちらも保険で認められています。しかし、除菌をすれば絶対に胃がんにかからないということではありません。除菌後も定期的な内視鏡でのフォローが必要です。

 現在胃がんにかかる方のほとんどがピロリ菌に感染している、または感染していた高齢者です。自分の胃に胃炎が持続しているか、ピロリ菌が感染しているかを一度確認しておくことは重要です。(新潟大学医学部 健康寿命延伸・消化器疾患先制医学講座 橋本哲・特任准教授)