「妻が手に負えない」 老老介護に疲れた夫が残した言葉
竹井周平
高齢者が高齢者を介護する「老老介護」。その疲れを理由に、無理心中や自殺をする人が後を絶たない。愛知県内でも3月以降、こうしたケースが続いており、介護で追い込まれていく高齢者の姿を映し出している。
「強そうな人」周囲も声かけられず
3月上旬。愛知県東郷町で、棟続きの長屋の一室から夫(72)と内縁の妻(81)の遺体が見つかった。「妻が手に負えない。許してください」。家の中から見つかった夫の遺書には、こう書き残されていた。
愛知県警によると、遺体はともに死後数日が経過。夫は妻の首を絞めて殺害後に自殺したとみられる。署は、夫を容疑者死亡のまま殺人容疑で書類送検する方針だ。
無口で義理堅い夫と、よく笑いよくしゃべる妻。近隣住民や知人が語る「夫婦」の印象だ。妻は数年前から足を引きずるような歩き方をしていた。会話がかみ合わず、認知症のような症状も出ていたという。夫は、古紙や段ボールを回収する仕事で生計を立てていた。軽トラックの助手席に妻を乗せ、毎日仕事に連れて出ていた。周囲には、仲むつまじい姿に映っていたという。
だが、日頃は多くを語らない…