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裁判員制度10年

 重大な刑事事件の裁判に市民が加わる裁判員制度がスタートして、5月で10年を迎える。裁判員を経験した人は約9万人。その中には、被告の半生、犯罪との接点、あるべき判決を51日間にわたって共に考え抜いた結果、人生が変わった2人がいる。

 2014年1月9日。男性は「裁判員候補者になった」という通知を手に、東京地裁に赴いた。

 60人の候補者の中から、抽選で6人の裁判員が選ばれた。抽選結果を示すモニターに自身の番号が映し出された男性は「1番さん」という法廷呼称を得た。過去に3回、司法試験に落ちていた男性は「裁判員という形で司法に関われると思い、前向きだった」。法廷の後方に座る補充裁判員も4人選ばれた。

 1週間後の初公判、地裁で最も広い104号法廷の通路は警備員で埋め尽くされた。6人の刑務官に囲まれて出廷したのは、オウム真理教の平田信(まこと)・元幹部(54)。17年近い逃亡を経て11年末に警視庁に出頭し、公証役場事務長の仮谷清志さん(当時68)の拉致や宗教学者の元自宅マンション爆破など、三つの事件で起訴されていた。

 傍聴席から視線を浴び、「1番さん」は身が引き締まった。隣に座ったのは会社員女性の「7番さん」。本来の「2番さん」が選任後に解任され、補充裁判員から繰り上がった。

 「仮谷さんが亡くなったことはいつ知りましたか」「爆発の時、どう感じましたか」――。朝日新聞の取材記者のノートで目立つのは「①」と「⑦」の質問者だった。

 平田元幹部の共犯とされた井上嘉浩・元死刑囚=昨年7月に執行=の証人尋問は2日間に及んだ。質問が出尽くしたかに思えた最後の最後、「7番さん」が口を開いた。「被告に言いたいことはありますか」

 「そうですね……」。井上元死刑囚は一呼吸置いた後、声を震わせて答えた。

 「必ず生きて社会に戻れる方で…

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