トヨタが失いかけた「原点」 スープラが逆風を越え復活

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竹山栄太郎
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 白く輝くスポーツカーの周りに人が集まる。スマートフォンを向けて写真を撮り、運転席に乗り込む。壮年の夫婦もいれば、若い男性もいる。思い思いにその新しい車とふれあう。

 3月30日、愛知トヨタ自動車が運営する「GRガレージ高辻」(名古屋市)に新型「スープラ」が置かれていた。今春の国内発売を控え、週末にファンが集う全国のGRガレージを巡回していた。3月上旬から予約を受け付け、すでに予定台数に達した店もある。

 同店GRマネージャーの葛谷和久さん(56)は「期待通りの活況。スポーツカー市場の活性化につなげたい」と話した。

 スープラとは、ラテン語で「超えて」「上に」の意味だ。トヨタを代表するスポーツカーで、この新型が5代目となる。初代は1978年に北米で発売。日本では「セリカXX(ダブルエックス)」として売り出された。86年の3代目から国内でもスープラの名前に。2002年に4代目の生産を終え、今回が17年ぶりの復活となる。

 北米では特に親しまれ、人気には映画が一役買っている。ロサンゼルスを舞台に、ストリートレースに明け暮れる若者らを描いた「ワイルド・スピード」。01年公開のこの作品で、ハリウッド俳優の故ポール・ウォーカーが乗る車はオレンジ色のスープラだ。トヨタの友山茂樹副社長は「FR(後輪駆動)で大排気量という点で、アメリカンなスポーツカーというイメージが強い」と話す。

 ただ、「復活」への道のりは平らではなかった。

スポーツカーへの逆風を乗り越え、トヨタがスープラを復活させた軌跡とは。開発責任者に「開発裏話」も聞きました。

■スポーツカーの「冬の時代」…

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