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 まんのう町川東の山あいを進む。崩れ落ちた民家を横目に、小型車がやっと通れる道の先に「雨島集落」はあった。2011年に最後の住民が亡くなり、消滅した集落だ。

 65歳以上が半数以上を占め、コミュニティーの機能が失われつつある「限界集落」。県の15年度のまとめでは、県内に245あり、10年度の調査から2倍以上に増えた。まんのう町は、東かがわ市の88に次ぐ39が限界集落とされた。

 一方の宇多津町。1988年に近くで瀬戸大橋が開通し、臨海部の開発が進んだ。80年に1万1341人だった人口は、2015年には1万8952人になった。

 町には、23年までに2万人とする計画がある。力を入れるのが子育て支援だ。新婚世帯に家賃1万円を最長2年間、補助している。16年度からは妊婦にタクシー券を交付。今年度からは、額を1人1万円から1万2千円に増やした。

 タクシー券は、車を持たない転勤者が多い町の事情を反映したもの。出産後も使えて好評という。町の担当者は「今後も人口を増やすため、子育てしやすい環境づくりなどで町の魅力を発信したい」と話す。

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 まんのう町で徳島県境にある琴南(ことなみ)地区。廃校になった中学校舎で、弁当づくりが佳境を迎えていた。

 かっぽう着やエプロンにバンダナ姿の主婦らが動き回る。住民らでつくる「旧琴南中学校利活用連絡会」は、高齢者向けに昼食を配達している。

 1食300円。食事の提供だけでなく、弁当を手渡す際に安否確認も兼ねる。希望者には歯科診療所への送迎も。17年に始めた活動は、多いときで1カ月に20日間、400軒以上に弁当を届けるまでになった。

 利用者の大上カメノさん(91)は一人暮らし。「ご飯は残す日もあるけど、おかずは全部食べられる。買い物にもなかなかいけないので助かる」と笑顔だ。

 琴南地区は、合併前の1985年に4048人が暮らしていたが、2014年には2218人とほぼ半減。町は移住施策にも取り組むが、「いま住んでいる人にとどまってもらい、子どもを産んで育ててもらうのが中心」(担当者)だ。

 連絡会には、50人ほどが参加する。弁当をつくるのは「高齢者部会」。体操やソフトボールをする「スポーツ部会」や、親子が楽しめる祭りなどを企画する「子育て支援部会」などもある。

 スポーツ部会長の山本幸作さん(69)は、連絡会の立ち上げに関わった。きっかけは、慣れ親しんだ中学校の廃校だ。「町の将来像を自分たちで考える」必要性を感じたという。「移住者がいなくても、現状を維持するくらいはできるんじゃないか」と力強く語る。

 連絡会は、高齢者たちの居場所にもなっている。高齢者部会の野村礼子さん(80)はもともと、弁当を受け取る側だった。「今はこれが生きがい。誰が欠けても回らないから、絶対に休めない」(森下裕介)