拡大する写真・図版 第39回猿橋賞を受賞した東北大金属材料研究所准教授の梅津理恵さん=2019年4月15日午後2時25分、東京都千代田区神田錦町3丁目、江口和貴撮影

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「ハーフメタル」の研究で猿橋賞を受ける梅津理恵さん

 東北大学准教授の梅津理恵さん(49)が、優れた女性科学者をたたえる第39回猿橋賞を受けることになった。実用化すれば、パソコンの記憶装置などで大幅な性能向上が期待される「ハーフメタル」の研究に貢献した。輝かしい成果をあげた研究者だが、一時はあきらめて他の道に進もうと思ったこともあったという。

 金属と半導体の性質を持ち合わせた「ハーフメタル」と呼ばれる特殊な合金で高品質の結晶を作ることに成功し、優れた女性科学者に贈られる猿橋賞の受賞が決まった。小さく省エネのパソコン記憶装置などへの応用が期待される。

 仙台市出身で、父(83)も金属研究者。女子高から女子大に進み、「女の子が物理なんて」という偏見とは無縁だった。でも24歳で研究職をめざした時、面接の相手は男性ばかり。「本当に活躍できるのか」と不安になった。

 研究の道を諦めた。病気の母のために実家に帰り、まもなく母をみとる。そこで思い直した。「好きだったことの続きをしよう」。東北大で再び研究を始めた。

 ハーフメタルは理論の研究が先行し、実物を作って調べることは難しかった。どんな材質が結晶になるのか。15年以上の地道な研究の末、溶けた金属をゆっくり冷まして1時間あたり1センチずつ固める手法にたどりついた。

 29歳で結婚、2女1男がいる。長く拘束される実験と家庭との両立は楽ではない。海外の学会は、どうしても行きたいものを選び、夫の母親に現地へ来てもらって子どもの世話を頼んだこともある。

 女性が科学者を長く続けるのが難しい状況は変わらない。でも、記者会見では笑顔で言った。「苦労したことも、思い返すと楽しい。子育てと一緒です」(小宮山亮磨)