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 54打数連続無安打。140年以上の歴史がある大リーグで今季、不名誉な記録が生まれた。オリオールズの左打者、クリス・デービス。本塁打のタイトルを2度獲得したが、近年は大型契約に見合う活躍が出来ていないと批判も受ける。長いトンネルを抜けた元本塁打王の胸のうちはいかに。

 敵地ボストンで13日に行われたレッドソックス戦。デービスは一回2死満塁で迎えた第1打席で速球を右前にはじき返し、2点適時打にした。昨年9月14日以来となる安打に「ヒットが待ち遠しかったのは確か。ベンチで仲間が大喜びしているのを見た気持ちは、言葉にできない」。一塁を回ると、ホッとしたように大きく両手をたたいた。珍記録が止まった瞬間だった。

 大リーグ公式サイトによると、これまでの連続無安打記録(投手を除く)は、11年にドジャースのユーヘニオ・ベレスがマークした「46打数」。デービスは今月8日の試合で5打数無安打に終わり、「49打数連続」に更新していた。打数に数えない四死球や犠打飛などを加えた打席数でも、同13日までに「62打席連続」となり、のちにプロ野球・南海(現ソフトバンク)にも在籍したトニー・バナザードが、インディアンス時代の1984年に作った「57打席連続」の記録を抜いていた。

 デービスは長打を売りにするチームの主力だ。13年には全30球団を通じて最多の53本塁打、138打点をマーク。だが、翌年にドーピング検査で興奮作用のある禁止薬物「アンフェタミン」の陽性反応を示し、25試合の出場停止処分を受けた。翌15年に47本塁打を放ち、再び本塁打王となっている。

 そのオフに7年総額1億6100万ドル(約180億3600万円)の大型契約を結んでから、低空飛行が始まった。16年は2年連続で両リーグ最多の219三振。本塁打数も年を追うごとに減っている。米メディアは、単純計算で2300万ドル(約25億7600万円)の年俸に、「ばかげた金額」と批判する。

 13日の一戦では復調の兆しを見せた。記録を止めた後は2本の二塁打を放ち、5打数3安打4打点。「チームは前向きな成果もたくさん出ているのに、無安打記録に隠れてしまっていた。そんな状況が終わってうれしい」。ただ、固め打ちをしても、今季の打率はまだ1割に届かない。(ボストン=井上翔太)