[PR]

エッセイスト 水野スウさん(72)

 いまでいう「ママ友」づくりのような、絵本についてのおしゃべりから始まった。いろいろな人が集まって語り合う「紅茶の時間」で感じた。「みんな、身の丈の自分を認めてほしいの」。憲法は、一人ひとりをかけがえのない存在だと認めるだけでなく、それを自覚せよと求めていると思う。「あなたのこと、私のことなんです」

 金沢市郊外の自宅の玄関に水曜の午後、小さな看板をかける。丸文字で「そのままどうぞ」。35年余り続ける「紅茶の時間」の始まりだ。おやつを持ち寄り、出入り自由でおしゃべりする。

 東京生まれのエッセイスト。結婚して越してきた。子育て仲間がほしかった。絵本をはさむ母子の集まりが始まりだ。チェルノブイリの事故で原発を、そして平和や愛をも語りあうようになった。

 親のひと言がつらかったと打ち明ける若者。介護の合間に立ち寄り、しんどさを口にする人。紅茶をつぎ、言葉を待ち、うなずく。「みんな、身の丈の自分を認めてほしいの」。憲法とのつながりを気づかせてくれたのは、大学を出て引きこもり、「社会の役に立たない」と思い詰めた娘だった。

 ほめ言葉を集めた本を親子で編み、講演に招かれた。言葉と平和がテーマだからと憲法を読んだ娘は、13条に目をとめた。すべて国民は、個人として尊重される。

 娘の言葉にはっとした。「私もあなたも、それだけでかけがえのない存在。それを許すだけでなく、自覚するよう求めている」

 ふだんの暮らしと憲法とをつづる2冊の「けんぽうBOOK」を自費出版し、平和・協同ジャーナリスト基金の「荒井なみ子賞」を昨冬に受けた。出前講演の「けんぽうかふぇ」で語り続ける。「憲法が語るのは、あなたのこと、そのものなのよ」(荻原千明)