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 人口547人(3月31日現在)と県内最少の檜枝岐村の村長選で16日、直前まで副村長だった星明彦氏(63)が初当選した。12年前の「例外」を除き、村では半世紀余りにわたり、村長選の無投票が続いている。背景には、村役場の存在の大きさと人間関係の密接さという小村ならではの事情があるといえそうだ。

 3期目の星光祥村長(68)が今期限りの退任を議会で表明したのは3月5日。村長は事前に副村長の星明彦氏に後を引き継ぐように要請し、この意向は少数の村幹部にも伝えられていた。家族との話し合いなどを経て、星明彦氏は告示6日前の10日に村役場で記者会見を開き、立候補を表明した。

 村では1963(昭和38)年、4選を目指した第5代村長の橘朝良氏と、第4代村長の星数三郎氏が争い、247票対209票で、橘氏が競り勝った。親類同士の2氏の争いは様々なしこりを残したといわれ、その後、無投票が慣例になる。

 尾瀬の入り口として村産業の中心が農業・木製品から観光に移る中、4人の村長が1度も選挙を戦うことなく、1~4期の任期を全うした。

 2007年の村長選は、村議会議長が3月に立候補を表明。その後、村幹部らに推された村総務課長の星光祥氏が告示日に立候補を明らかにし、204票差で当選する。選挙ポスターや街頭演説はなく、「一軒一軒に電話であいさつをしただけ」(星村長)だったという。

 村役場の職員は、交流センターや御池ロッジなど村営の事業所で働く人も含めて72人。人口の約13%を占める。大きな企業や工場がない197世帯の村では、多くの家庭が役場とつながりをもって暮らしている。村職員出身の村長は星明彦氏で4代連続となる。

 また、「誰がどんな人かみんな知っているから、選挙をしなくてもいい」という声も聞かれる。

 歌舞伎公演や、スキー大会などでは役場職員だけでなく、民宿の経営者ら、村を挙げて準備や運営に取り組む。こうした日々を通じて人となりは知られていく。

 村職員としてマイタケ栽培など特産品づくりに取り組んできた星明彦氏は16日、「観光と福祉の村づくりを進めていく」と抱負を述べた後、無投票当選について「村民の皆さんの支持を得ることができたと思っています」と話した。(戸松康雄)

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