「山から授かった」マタギのクマ鍋 中田英寿さんも舌鼓

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渡部耕平
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 クマを狩猟するマタギ。秋田県北秋田市の山間部、森吉山(もりよしざん)(1454メートル)のふもとにある阿仁(あに)地区は、マタギ発祥の地と言われる。マタギの頭領は「シカリ」と呼ばれ、集落ごとに受け継がれてきた。その一人、鈴木英雄さん(72)は「クマは獲物じゃない。山の神からの授かりものです」と話す。

 15歳でマタギになり、クマに畏敬(いけい)の念を持つ。マタギは十数人で山に入り、クマを仕留めると儀式をして供養し、その魂は山の神に返す。肉は平等に分け合う。「マタギ勘定と言います。山は神聖な場所。そこで授かったものだから、粗末にはしない。肉は全部混ぜて、仲間で分け隔てなく」

 鈴木さんはクマ鍋づくりの名人でもある。5年ほど前には、サッカー元日本代表の中田英寿(ひでとし)さん(42)に振る舞った。中田さんは各地の伝統文化を紹介する企画で阿仁を訪れ、マタギについて鈴木さんに取材した。クマ鍋でもてなすと、「世界中を回ってきましたが、こんなにおいしい肉は初めてです」と絶賛したという。

 クマ肉を酒、みそ、塩で煮ただけの鍋だった。「余計なものは入れない。肉の味を生かすのには、それが一番」。中でも秋に捕れたクマは木の実を食べているせいか、脂がのっているそうだ。料理のコツは、あまり煮こまないこと。「肉が柔らかいうちに味付けをするといいです。脂も独特で、くせがありません」

 どんな鍋なのか。阿仁の打当…

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