[PR]

 捜査現場や行方不明者の捜索に活躍する嘱託警察犬といえば、シェパードやゴールデンレトリバーなど大型犬が主流だ。精悍(せいかん)な顔つきで、強そうな「猛者」がそろう。そんな中、滋賀県警が今春嘱託書を渡した22匹の中に、見た目が愛らしい1匹のトイプードルがまじっていた。県警が小型犬を選ぶのは初めてのこと。いったい何があったのか。

 今回、嘱託警察犬になったのはトイプードルの「マル」。3歳のオスで、普段は滋賀県彦根市の自営業前田良二さん(67)と妻の実千代さん(66)に飼われている。

 普段は前田さん夫婦から片時も離れない「甘えん坊」。17日に大津市の県警察学校で嘱託式があり、嘱託警察犬の「同期」は、5枚の布から犯人と同じにおいの布を選ぶなど日頃の訓練の成果を披露した。マルも式には参加したが、前田さん夫婦を見ると興奮して離れられないため、技を披露しなかった。

 前田さん夫婦は2015年ごろにマルを飼い始めた。マルは臆病で常に動き回ったり、かみついたりした。前田さん夫婦はしつけの一環で、マルを栗東ドッグスクール(竜王町)に通わせた。しばらくして、県警の警察犬指導員でもあるドッグトレーナーの高畑伊津香さん(53)が、ほかの犬と比べて嗅覚(きゅうかく)が優れているマルの特性に気づいた。

 「警察犬としての才覚があるのではないか」。17年春から本格的に、警察犬をめざす訓練が始まった。歩く、座る、伏せるなど基本動作の「服従訓練」、においをかぎ分ける訓練……。次第に臆病な性格も改善されていった。昨年11月の警察犬の審査会に初めて挑戦し、合格した。

 日本警察犬協会(東京都)によると、全国の嘱託警察犬の約9割がシェパードなどの大型犬という。

 高畑さんは「大型犬に比べて、トイプードルだと怖がる人も少ないと思う。捜査をしているのが分かりにくくなる」と利点も指摘する。県警鑑識課によると、トイプードルのような小型犬は大型犬と比べ、地面により近づいてにおいを嗅ぐことができるため、草むらの中を捜索するのに優れているという。持久力も大型犬と変わらない。

 前田さん夫婦はマルをなでながら、「行方不明者の捜索などに貢献できるといいですね」。県警は「能力が認められれば、今後も小型犬を嘱託警察犬として選んでいきたい」としている。(石川友恵)