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シンギュラリティーにっぽん

 急速に進化を遂げる人工知能(AI)分野では、研究、実用化する人材の獲得競争も激しさを増している。産業への応用や開発面で「周回遅れ」とされる日本にとっても、AI人材の確保は大きな課題になる。(牛尾梓=トロント、大津智義)

理解できない、でも可能性に賭ける

 北米・五大湖の北岸にあるカナダ・トロントは、高層ビルやマンションの建設ラッシュに沸く。かつてともに世界的な大工業地帯を形成した南岸の米側が、工場の国外移転などで「ラストベルト(さびついた地域)」に変わり果てたのとは対照的だ。その背景に、AIの存在がある。

 「北のシリコンバレー」とも呼ばれるトロントの原動力は、AIの研究開発に携わるために世界から集まる有能な人材だ。オンタリオ州立のトロント大が中心になって牽引(けんいん)する。

 同大の真新しい近代的な建物に昨年、富士通が研究拠点を作った。日本企業では唯一という。ポーランドやトルコから来た学生と日本人技術者ら約40人が一緒にパソコンを並べ、多くの選択肢から最適な解を高速で探すデジタル回路の実用化をめざす。「工学や理学、さらには医学や金融学など垣根を越えて、AI技術を応用できる環境がある」(担当者)という。

 産官学の強い結びつきを象徴する建物がトロント大の敷地内にある。2005年に設立した「MaRS(マーズ)」だ。約120社が集まり、スタートアップ企業を支援し、投資家や大手企業をつなぐ架け橋になっている。

 「トロントにはAIの優秀な学生が集まる。大学と企業がすぐに連携できるのが強みだ」。富士通と共同研究し、同大でコンピューター科学を教えるアリ・シェイコレスラミ教授(52)はそう話す。

 その理由の一つが、米国の約半分の授業料でAI分野が学べること。2016年以降はトランプ米大統領の排外政策の余波もあり、中東や中国を中心に外国人志望者が約8割増えた。

 学生が集まれば企業も群がる。市内には米グーグルやライドシェアのウーバー・テクノロジーズなどが相次いで研究拠点を構える。米国よりもともと法人税が安いうえに、AI研究には法人税が控除される。市周辺には1万5千社を超えるAI関連企業がひしめく。

 AIによるトロントの劇的な変貌(へんぼう)は、一朝一夕で成し遂げられたものではなかった。

 1983年、同大は米国で教壇…

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