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 羽を広げると約10センチになる大型の水生昆虫「ヘビトンボ」の新種が、九州の里山で見つかった。東京都目黒区の会社員、下野谷益(みつる)さん(54)が学術誌「ズータクサ」に発表した。下野谷さんの父、豊一さん(78)も福井でヘビトンボの新種を見つけており、親子2代での新種発見となった。

 ヘビトンボは、幼虫も成虫も大きなあごを持つ水生昆虫。幼虫のヤゴから羽化するトンボとは異なり、サナギを経て成虫になる。

 豊一さんは約25年前、福井県で新種を見つけたが体調を崩し、なかなか発表できなかった。そこで益さんが手伝い、2015年に論文発表。成虫が明かりを嫌うことから「カクレクロスジヘビトンボ」と名付けた。

 その後、益さんもヘビトンボの仲間の分布を調べるため各地を回り、17年5月に佐賀県で新種を発見。福岡県でも見つけた。虫の触角の「小さなくし」のような見た目と、採集場所から「チクシクロスジヘビトンボ」と名付けた。

 東京大学総合研究博物館の矢後勝也(やごまさや)助教(昆虫自然史学)は「アマチュアの研究者が親子2代で、しかも『風の谷のナウシカ』に出てくるような見た目の、大きな新種を日本から発見するとは驚きだ」と話している。

 益さんは「父は長年趣味で昆虫の採集に取り組んでいた。私は趣味と無縁だったが、父を手伝ったことで知識が深まり、新種の発見につながった」という。益さんが撮影したヘビトンボの写真は、学術誌のウェブページに一時掲載された。(田中誠士)